食事・栄養読む時間 約6分
亜鉛と身長の関係は?不足のサインと、サプリを使う前に知りたいこと
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
亜鉛は細胞の成長に関わるミネラルで、不足すると子どもでは身長の伸びが悪くなることがあります。ただし、不足していない子が亜鉛を多くとっても、身長が伸びるという科学的なデータはありません。亜鉛不足かどうかは、症状と血液検査などで医師が判断するものなので、自己判断でサプリメントを始めないようにしましょう。
亜鉛は体の中で何をしている?
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所によると、亜鉛は体に必要な微量ミネラルの一つです。多くの酵素に含まれ、遺伝子の働きやたんぱく質の合成など、細胞の成長や分化で中心的な役割を果たしています。
日本臨床栄養学会の「亜鉛欠乏症の診療指針2024」は、亜鉛の働きとして、子どもの身長の伸び、皮膚の代謝、骨格の発育、味覚の維持、免疫の働きなどを挙げています。
亜鉛はすべての細胞にあるため、肉や魚介、種実、穀類など、多くの食品に含まれています。同じ研究所は、小腸での吸収率はおよそ30%で、一緒にとる鉄や銅の量によっても変わると説明しています。
亜鉛は体の中で約2,000mgあり、歯や骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれていると、同じ研究所は説明しています。たくわえておける量に限りがあるため、毎日の食事から少しずつとることが大切です。
亜鉛が不足すると身長に影響する?
日本臨床栄養学会の診療指針は、子どもでは亜鉛が不足すると身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあると説明しています。亜鉛は、成長に関わるインスリン様成長因子-I(IGF-I)を保つことにも関わっているとしています。
亜鉛不足の症状には、身長の伸びの低下や体重が増えないことのほか、皮膚炎、口内炎、脱毛、食欲の低下、味覚の異常、貧血、感染しやすいことなどがあります。どれも亜鉛不足以外の原因でも起こるため、症状だけで判断することはできません。
医薬基盤・健康・栄養研究所は、亜鉛の不足は、食事からの摂取不足のほか、体の中での必要量の増加や、排泄が増えることでも起こると説明しています。亜鉛と結びつく性質の薬を長く使っている場合に不足することも報告されています。
日本臨床栄養学会の診療指針は、慢性の肝臓病や腸の病気、腎臓の病気などでも亜鉛が不足しやすいとしています。持病がある子で身長の伸びが気になる場合は、主治医に相談してみてください。
亜鉛をとれば身長は伸びる?
日本小児内分泌学会は、亜鉛などを含むサプリメントについて、不足によって成長がさまたげられている場合には、補うことで成長が正常に戻る可能性があるとしています。一方で、不足していない場合に成長を促すという科学的なデータはないと述べています。
日本臨床栄養学会の診療指針でも、亜鉛を補う治療は、症状があり、ほかの病気が否定され、血液中の亜鉛が低い場合に考えるものとされています。数か月補っても症状が変わらないときは、亜鉛不足による症状ではないと判断して中止するとしています。
つまり、亜鉛は「足りないときに補う」ものであり、「多くとるほど背が伸びる」ものではありません。身長の伸びが気になる場合は、亜鉛だけに注目せず、ほかの原因も含めて医師に確認してもらいましょう。
子どもは1日にどのくらい必要?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、亜鉛の推奨量が年齢と性別ごとに示されています。推奨量は、その年齢のほとんどの人が必要量を満たせると考えられる量です。
表のとおり、思春期に向けて必要量は増え、15〜17歳の男の子では1日10.0mgになります。12〜14歳では男女とも8.5mgです。
17歳以下には、亜鉛の耐容上限量(これ以上とると健康障害のリスクが出てくる量)の値は示されていません。18歳以上では、たとえば18〜29歳の男性で40mg、女性で35mgとされています。値がないことは、子どもがいくらとってもよいという意味ではありません。
| 年齢 | 男の子(mg/日) | 女の子(mg/日) |
|---|---|---|
| 1〜2歳 | 3.5 | 3.0 |
| 3〜5歳 | 4.0 | 3.5 |
| 6〜7歳 | 5.0 | 4.5 |
| 8〜9歳 | 5.5 | 5.5 |
| 10〜11歳 | 8.0 | 7.5 |
| 12〜14歳 | 8.5 | 8.5 |
| 15〜17歳 | 10.0 | 8.0 |
出典 [4]
亜鉛はどんな食品に多い?
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、100gあたりの亜鉛は、かき(養殖・生)で14.0mg、豚の肝臓(生)で6.9mg、プロセスチーズで3.2mg、豚もも肉(脂身なし・生)で2.1mg、糸引き納豆で1.9mg、鶏卵(全卵・生)で1.1mgです。
毎日たくさん食べるのが難しい食品もありますが、肉、魚介、卵、大豆製品、乳製品をいろいろ組み合わせることで、少しずつ積み重ねることができます。
食べられる食品が少ない、肉や魚をほとんど食べないといった場合は、亜鉛も含めていくつかの栄養素が足りなくなることがあります。食事の内容が気になる場合は、管理栄養士に相談してみてください。
医薬基盤・健康・栄養研究所は、玄米ご飯やそば、そら豆、ナッツ類など、植物性の食品にも亜鉛が含まれることを紹介しています。主食を工夫することも一つの方法です。
亜鉛のサプリで補ってもいい?
医薬基盤・健康・栄養研究所は、通常の食事で亜鉛のとりすぎが問題になることはあまりないとしています。一方で、続けてとりすぎると、銅や鉄の吸収がさまたげられ、貧血などが起こるおそれがあると説明しています。
同じ研究所によると、亜鉛を含む栄養機能食品には、乳幼児・小児は摂取を避けるよう注意する表示が求められています。大人向けの製品を子どもに与えることには、慎重になる必要があります。
医薬基盤・健康・栄養研究所のコラムは、子どもへのサプリメントは、ふだんの食事でとれている量を把握したうえで、どうしても必要な場合に限って使うべきだとしています。亜鉛のサプリを考えている場合は、先に医師に相談してください。
医療機関で亜鉛不足と診断された場合は、医師が薬として亜鉛を処方することがあります。その場合も、効果と副作用を見ながら量を調整していくとされています。
亜鉛不足が心配なときは?
亜鉛が足りているかどうかは、見た目や食事の内容、ひとつの症状だけでは判断できません。日本臨床栄養学会の診療指針では、症状に加え、ほかの原因となる病気がないこと、血液中の亜鉛の値などをあわせて診断するとしています。
血液中の亜鉛の値は、測る時間帯や体の状態によって変わることがあります。指針では、早朝の空腹時に測ることが望ましいとされています。検査が必要かどうか、どこで受けるかは医師と相談しましょう。
身長の伸びが落ちてきた、食欲がない、皮膚炎や口内炎をくり返すなど、気になる様子が重なっているときは、記録を持って小児科に相談してください。
身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話、0円)で、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEから受け付けています。
亜鉛と身長についてよくある質問
Q. 亜鉛が足りているかは、健康診断でわかりますか?
A. 一般的な健康診断に、血液中の亜鉛の測定が含まれているとは限りません。気になる場合は医師に相談してください。
Q. 偏食があると、亜鉛不足になりやすいですか?
A. 肉や魚介、卵、大豆製品などをほとんど食べない場合は、とれる量が少なくなることがあります。ただし、偏食があるだけで亜鉛不足とは決められないため、心配な場合は医師に確認してもらいましょう。
Q. 亜鉛のサプリを飲んでいます。やめたほうがよいですか?
A. 自己判断で量を増やすことは避け、何を、どれだけ飲んでいるかを医師に伝えて相談してください。医師から処方されている場合は、指示どおりに続けましょう。
まとめ
亜鉛は子どもの成長に欠かせないミネラルで、不足すると身長の伸びが悪くなることがあります。一方、足りている子が多くとっても身長が伸びるという根拠はなく、とりすぎにも注意が必要です。食事でいろいろな食品をとり、不足が心配なときは医師に相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。