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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約7分
アトピー性皮膚炎は身長に影響する?かゆみ・睡眠・ステロイド外用薬について分かっていること
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
海外の調査では、アトピー性皮膚炎のある子は幼いころに平均してわずかに背が低い傾向が報告されていますが、その差は小さく、成長とともに目立たなくなったという報告もあります。重い湿疹やかゆみで眠れない状態が続くことは、身長の伸びに影響することがあります。ステロイド外用薬は、成長への影響が問題になるのは主に飲み薬や注射で使った場合とされ、自己判断でやめずに皮膚の治療を続けることが大切です。
アトピー性皮膚炎の子は、背が低くなりやすい?
カナダ・トロントで、5歳以下の子どもを思春期まで追跡した調査(JAMA Dermatology、2022年)があります。10,611人のうち17.3%に、保護者の報告でアトピー性皮膚炎がありました。アトピー性皮膚炎のある子は、ない子に比べて身長がわずかに低い傾向があり、2歳で平均0.5cm、5歳で平均0.6cm低いと見積もられました。この差は年齢とともに小さくなり、14歳ごろまでに見られなくなっていました。
一方、中等症から重症のアトピー性皮膚炎がある12歳未満の子ども1,329人を調べた国際的な観察研究(Pediatric Dermatology、2026年)では、5歳から12歳未満の子のうち、男の子の72%、女の子の53%が、米国の基準で身長の中央値を下回っていました。この研究は一時点の測定で、低い理由までは分かっていません。
研究によって、対象の年齢や湿疹の重さ、身長の比べ方が違うため、結果をそのまま比べることはできません。そのうえでこれらをあわせると、湿疹が軽い子では身長への影響はあっても小さく、重い湿疹が続く子では注意して見ていく必要がある、と考えられます。ただ、背が低い原因がアトピー性皮膚炎だとは限りません。
なぜ身長に影響することがあるの?
国立成育医療研究センターは、アトピー性皮膚炎のかゆみで夜に十分眠れないと、身長の伸びが悪くなったり、学校生活で本来の力を出せなくなったりすることがあると説明しています。重症の赤ちゃんでは、全身の状態の悪化や成長・発達への影響から、治療を急ぐ必要があることもあるとしています。
韓国・ソウルの7〜8歳の子どもを調べた研究(Annals of Dermatology、2013年)では、単純に比べるとアトピー性皮膚炎のある子のほうが低めでしたが、ほかの要因をあわせて分析すると、アトピー性皮膚炎そのものより、両親の身長、睡眠の乱れ、ぜんそくの有無、食事の制限が身長と関係していました。
つまり、病気そのものより、かゆみによる睡眠不足や食事の制限、重い炎症による全身の状態などが重なって、伸びに影響する可能性があります。睡眠と成長ホルモンの関係は「寝る子は育つは本当?」のコラムで説明しています。
食べ物を減らすと、成長に影響する?
先ほどの韓国の研究では、食事の制限があることも身長と関係していました。アレルギーが心配で、自己判断で多くの食品を除いていると、成長に必要なエネルギーや栄養が足りなくなるおそれがあります。
食べ物がアトピー性皮膚炎の悪化に関わっているかどうか、除く必要があるかどうかは、医師が診察や検査をもとに判断します。除いている食品がある場合は、代わりの食品で栄養を補えているかも相談しましょう。食事全体の考え方は「偏食・少食の子の身長は?」のコラムで説明しています。
出典 [4]
ステロイド外用薬で、背が伸びなくなる?
国立成育医療研究センターは、ステロイドの副作用として聞くことがある「免疫抑制」「成長障害」「糖尿病」は、塗る使い方ではなく、飲み薬や注射で全身に使った場合のものだと説明しています。塗り薬を長く使うと、皮膚が薄くなる、にきびが出るといった、塗った場所の副作用が出ることがあり、同センターでは使う間隔を調整しながら減らすことで、これを避けるとしています。
子どもの研究をまとめた解析(Hormone Research in Paediatrics、2018年)では、アトピー性皮膚炎に短期間ステロイド外用薬を使った12の試験、522人のうち3.8%で、副腎の働きが一時的に弱まる検査上の変化が見られました。弱い〜中くらいの強さの薬では2〜3.1%、強い薬では6.6%で、治療をやめると元に戻るものでした。
安全性についての研究をまとめた報告(BMJ Open、2021年)では、悪化したときに必要に応じて使う方法や、週2回ほど塗って悪化を防ぐ方法で、害を示す根拠は見つかりませんでした。成長が抑えられた根拠も示されていません。ただし、長い期間の安全性のデータは限られているとしています。強さや量、塗る範囲は医師が皮膚の状態を見て決めるので、心配なときは自己判断でやめず、処方した医師に相談してください。
飲み薬や注射の治療を受けている場合は?
国立成育医療研究センターは、ステロイド外用薬を治療の基本としたうえで、タクロリムス軟膏などの塗り薬、12歳以上で使える飲み薬(経口JAK阻害薬)、皮下注射の薬があると紹介しています。
ステロイドを飲み薬や注射で続けて使う場合は、成長への影響が問題になることがあるため、主治医が量や期間を考えながら使います。新しい飲み薬や注射薬を使っている場合も、身長や体重の記録を受診のときに見てもらうと安心です。ぜんそくの吸入薬との関係は「ぜんそくの吸入ステロイドは身長に影響する?」のコラムで説明しています。
出典 [3]
アトピー性皮膚炎のある子の身長は、どう見ていけばよい?
皮膚の状態とあわせて、身長と体重を定期的に記録し、成長曲線に書き込んでおきましょう。湿疹がよくなったあとに伸びが戻ってくるかどうかも、記録があると確かめやすくなります。次のような様子があれば、皮膚の主治医や小児科に相談してください。
国立成育医療研究センターは、全身に湿疹が広がって学校に行けない、夜も眠れないなど、日常生活に大きな問題が出ている場合や、全身の状態が悪い場合は、早めの受診が必要だとしています。
皮膚科と小児科の両方にかかっている場合は、それぞれの医師に、身長と体重の記録や使っている薬を伝えておきましょう。皮膚の治療と成長の見守りを、あわせて考えてもらいやすくなります。
- かゆみで夜に何度も起きる状態が続いている
- 湿疹が全身に広がり、眠れない、学校に行けない日がある
- 成長曲線で、身長が線を横切って下がってきている
- 体重が増えない、または減ってきた
- 食べられる食品が少なく、食事の量も少ない
身長のことは、どこに相談すればよい?
国立成育医療研究センターは、アトピー性皮膚炎の治療の基本を、スキンケア、薬による治療、悪化の原因への対策の三つとしています。まず皮膚の治療をしっかり続けることが、睡眠を守り、結果として成長を見守ることにもつながります。
皮膚の治療を受けながら身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。皮膚の治療の内容を変えるかどうかは、皮膚を診ている主治医と相談してください。
アトピー性皮膚炎と身長についてよくある質問
Q. 顔や首にもステロイドを塗っています。身長に影響しますか?
A. 成長への影響が問題になるのは主に飲み薬や注射で全身に使った場合とされています。顔や首は皮膚が薄いため、医師が薬の強さや塗る期間を選んでいます。心配なときは、使い方を処方した医師に確認してください。
Q. 湿疹がよくなれば、身長は追いつきますか?
A. カナダの調査では、アトピー性皮膚炎のある子の身長の差は年齢とともに小さくなっていました。ただし個人差があるため、記録を続けて伸び方を確かめましょう。
Q. 背を伸ばすために、薬をできるだけ使わないほうがよいですか?
A. かゆみによる睡眠不足は、身長の伸びに影響することがあります。国立成育医療研究センターは、適切な治療を早く行うことで影響を防げるとしています。薬を減らしたい場合も、自己判断ではなく主治医と相談しながら進めてください。
まとめ
アトピー性皮膚炎のある子は幼いころにわずかに背が低い傾向が報告されていますが、差は小さく、成長とともに目立たなくなったという報告もあります。かゆみで眠れない状態や行きすぎた食事制限を避けるためにも、ステロイド外用薬を含む皮膚の治療を医師と続け、身長と体重の記録で伸び方を見守りましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- JAMA Dermatology「Association Between Atopic Dermatitis and Height, Body Mass Index, and Weight in Children」(Nicholas MN ほか、2022年、カナダTARGet Kids!の10,611人、PubMed)
- Pediatric Dermatology「Growth Assessment in Children Under 12 Years With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis Included in the PEDISTAD Observational Registry」(Paller AS ほか、2026年、12歳未満の1,329人、PubMed)
- 国立成育医療研究センター「アトピー性皮膚炎」(総合アレルギー科、受診方法の案内を含む)
- Annals of Dermatology「The short stature in atopic dermatitis patients: are atopic children really small for their age?」(Park MK ほか、2013年、ソウルの7〜8歳、PubMed)
- Hormone Research in Paediatrics「Evaluation of Hypothalamic-Pituitary-Adrenal Axis Suppression following Cutaneous Use of Topical Corticosteroids in Children: A Meta-Analysis」(Wood Heickman LK ほか、2018年、12試験522人、PubMed)
- BMJ Open「Safety of topical corticosteroids in atopic eczema: an umbrella review」(Axon E ほか、2021年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- ノビケア「お問い合わせ」