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ステロイドの飲み薬・クッシング症候群と身長:伸びが落ちる理由と回復

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

ステロイド(副腎皮質ステロイド)の飲み薬を長く使っている子や、体の中でステロイドホルモンが多くなりすぎるクッシング症候群の子では、身長の伸びが落ちることがあります。薬を減らしたり、病気を治療したりしたあとに伸びが戻ることも多い一方、差が残ることもあります。ステロイドは病気を抑えるために必要な薬なので、身長が心配でも自己判断でやめず、主治医と相談しながら記録で伸び方を見守りましょう。

ステロイドの飲み薬で、背の伸びが落ちることはある?

あります。よく使われるステロイドの飲み薬、プレドニゾロン(プレドニン錠)の医薬品インタビューフォームには、子どもへの注意として「観察を十分に行うこと。発育抑制があらわれることがある」と書かれています。

米国の小児科医による総説(1996年)は、ステロイドが成長ホルモンの分泌を弱めたり、骨をつくる働きを抑えたりと、いくつもの面から成長をさまたげると説明しています。比較的少ない量を毎日飲む場合や、1日おきに飲む方法でも、一部の子では伸びがゆっくりになることがあるとしています。

影響の大きさは、薬の量、使う期間、もとの病気の重さなどで変わります。数日だけ飲む使い方と、何か月も続ける使い方とでは、考え方が違います。

出典 [1] [2]

どんな病気でステロイドの飲み薬を使う?

ステロイドは炎症や免疫の働きを強く抑える薬で、子どもでも多くの病気に使われます。プレドニン錠の患者向医薬品ガイドには、ネフローゼ症候群などの腎臓の病気、気管支ぜんそく、若年性関節リウマチ、膠原病、潰瘍性大腸炎などの腸の病気、皮膚の病気など、幅広い病気が並んでいます。

こうした病気そのものが、炎症や食欲の低下を通じて成長に影響していることもあります。そのため、伸びが落ちている理由が薬なのか、病気なのか、その両方なのかは、主治医が経過を見ながら判断します。炎症性腸疾患の場合は「クローン病など炎症性腸疾患と子どもの身長」のコラムで説明しています。

出典 [3]

クッシング症候群とは、どんな病気?

体の中では、副腎という臓器がコルチゾールというステロイドホルモンをつくっています。小児慢性特定疾病情報センターは、このコルチゾールが長いあいだ出すぎて、特有の症状が出る状態をクッシング症候群と説明しています。脳の下垂体にできる小さな腫瘍が原因になるものは、クッシング病と呼ばれます。

同センターは、主な症状として、顔が丸くなる(満月様顔貌)、おなかや首の後ろに脂肪がつく、皮膚が薄くなり赤紫色のすじができる、あざができやすい、太ももや腕の筋力が落ちる、などを挙げ、子どもでは成長の遅れがみられるとしています。

子どもの病気としてはまれです。一方で、ステロイドの薬を多く長く使ったときにも、似た症状が出ることがあります。

出典 [4]

「体重は増えるのに、背が伸びない」のはなぜ?

米国内分泌学会の子どもの肥満の診療ガイドライン(2017年)は、食べすぎなどによるふつうの肥満の子は、背の伸びも速いことが多いのに対し、成長ホルモンの不足、甲状腺ホルモンの不足、クッシング症候群などホルモンの病気による肥満では、身長とその伸びが低くなるのが特徴だとしています。

日本小児内分泌学会も、病気が隠れている肥満では身長の伸びが悪くなるのが特徴だと説明しています。体重の線が上がっていくのに、身長の線が成長曲線で下がっていく形は、ステロイドが多すぎる状態を考える手がかりになります。くわしくは「太っているのに背が低い子」のコラムで説明しています。

出典 [5] [6]

薬を減らしたり、病気を治療したりすると、伸びは戻る?

戻ることが多いものの、差が残ることもあります。米国で、嚢胞性線維症という肺の病気がある6〜14歳の子ども224人を調べた研究(NEJM誌、2000年)では、プレドニゾンを1日おきに飲んだグループで、飲んでいるあいだに身長の値が下がり、薬をやめて2年ほどたってから追いつきの伸びが始まりました。

ただし、男の子では差が残り、18歳以上の平均身長は、飲まなかったグループより4cm低くなっていました。女の子では、やめて2〜3年後には差が見られなくなっていました。この研究は特定の病気の子どもを対象にしたもので、すべての病気や使い方に当てはまるわけではありません。

英国で、子どものころにクッシング病の治療を受けた10人を調べた研究(2000年)では、診断時の身長は平均−2.15SDでしたが、治療のあとに伸びが追いつき、最終身長(または最後に測った身長)は平均−1.36SDでした。治療後に成長ホルモンが不足した人が多く、10人中8人が成長ホルモンの補充を受けていました。追いつきのしくみは「キャッチアップ成長とは?」のコラムで説明しています。

出典 [7] [8]

身長が心配なら、薬をやめてもよい?

自己判断でやめたり、減らしたりしないでください。プレドニン錠の患者向医薬品ガイドは、続けて飲んだあとに急にやめると、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショックなどがあらわれることがあるとしています。やめる場合は、医師が少しずつ量を減らします。

長く飲んでいると、体が自分でつくるステロイドホルモンが少なくなっているためです。また、薬を急にやめると、もとの病気が悪くなることもあります。

身長が気になるときは、主治医に「身長の伸びが心配」と伝えてください。病気の状態によっては、量や飲み方を調整したり、ステロイドを減らせるほかの薬を考えたりすることがあります。

出典 [3]

治療中の身長は、どう見ていけばよい?

ステロイドの飲み薬を長く使っているあいだは、身長と体重を定期的に測り、成長曲線に書き込んでおきましょう。受診のときに記録を見せると、主治医が伸びの変化に気づきやすくなります。次のようなときは、早めに主治医に相談してください。

米国の総説は、ステロイドを続けて使う子どもに成長ホルモンを使う治療は、まだ研究の段階だとしています。日本で、ステロイドによる伸びの低下に成長ホルモン治療が保険で使えるかどうかは、もとの病気や検査の結果によって変わります。

出典 [2] [9]

身長のことは、どこに相談すればよい?

ステロイドを処方している主治医にまず相談しましょう。伸びの低下が大きい場合や、ホルモンの病気が疑われる場合は、小児内分泌の専門医に紹介されることがあります。

もとの病気の治療を続けながら身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬を処方する2回目には、お子さまにも参加していただきます。ステロイドの量や飲み方は、処方している主治医と決めてください。

出典 [10]

ステロイドの飲み薬・クッシング症候群と身長についてよくある質問

Q. 塗り薬や吸入のステロイドでも、同じように背が伸びなくなりますか?

A. 飲み薬や注射で全身に使う場合とは、体に入る量が大きく違います。塗り薬については「アトピー性皮膚炎は身長に影響する?」、吸入薬については「ぜんそくの吸入ステロイドは身長に影響する?」のコラムで説明しています。

Q. ステロイドをやめれば、すぐに伸びが戻りますか?

A. 嚢胞性線維症の子どもの研究では、追いつきの伸びが始まったのは薬をやめて2年ほどたってからでした。戻り方には個人差があるため、やめたあとも記録を続けましょう。

Q. クッシング症候群は、太っている子によくある病気ですか?

A. 子どもではまれな病気です。ただ、体重が増えるのと同時に身長の伸びが落ちてきた場合は、こうした病気を確かめるきっかけになるため、成長曲線を持って小児科で相談してください。

出典 [7] [4]

まとめ

ステロイドの飲み薬を長く使う場合や、クッシング症候群でステロイドホルモンが多すぎる場合は、身長の伸びが落ちることがあり、薬を減らしたり病気を治療したりしたあとに戻ることが多いものの、差が残ることもあります。薬は自己判断でやめず、身長と体重の記録を主治医と一緒に見ていきましょう。

出典 [1] [7]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. PMDA掲載 シオノギファーマ「プレドニン錠5mg 医薬品インタビューフォーム」(PDF、2026年3月改訂 第22版、9.7 小児等「発育抑制があらわれることがある」)
  2. Endocrinology and Metabolism Clinics of North America「Growth suppression by glucocorticoid therapy」(Allen DB、1996年、ステロイドによる成長抑制の総説、PubMed)
  3. PMDA「患者向医薬品ガイド プレドニン錠5mg」(PDF、2024年1月更新)
  4. 小児慢性特定疾病情報センター「クッシング(Cushing)病 概要」
  5. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Pediatric Obesity—Assessment, Treatment, and Prevention: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline」(Styne DM ほか、2017年、米国内分泌学会の診療ガイドライン)
  6. 日本小児内分泌学会「肥満」
  7. New England Journal of Medicine「Risk of persistent growth impairment after alternate-day prednisone treatment in children with cystic fibrosis」(Lai HC ほか、2000年、米国の嚢胞性線維症の6〜14歳224人、PubMed)
  8. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Linear growth and final height after treatment for Cushing's disease in childhood」(英国、子どものころにクッシング病の治療を受けた10人、2000年)
  9. 日本小児内分泌学会「低身長」
  10. ノビケア「お問い合わせ」