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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
長い病気やけがのあと、身長の伸びは戻る?
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
長い病気やけがで身長の伸びが落ちても、原因となった病気がよくなると、伸びが戻ってくることが多いと考えられています。ただし、病気の種類や続いた期間、そのときの年齢によっては、差が残ることもあります。病気の前後の身長の記録を残し、回復したあとも伸びが戻ってこないと感じたら、主治医に成長曲線を見てもらいましょう。
どんな病気やけがのあとに、伸びが気になる?
日本小児内分泌学会は、身長の伸びに関わる要因として、遺伝や体質、ホルモンのほかに、長く治療が必要な病気やお薬、栄養や睡眠、運動、心の状態などを挙げています。長い療養のあいだは、これらがいくつも重なりやすくなります。
伸びへの影響を気にかけたいのは、たとえば次のような場合です。数日の発熱や風邪のように短い病気で、大人になったときの身長が変わることを示した資料は、学会や公的機関には見当たりません。
- 数か月以上の入院や自宅での療養が続いた
- 腸の炎症が続く病気(クローン病など)や腎臓の病気など、長く治療が必要な病気がある
- ステロイドの飲み薬を長く使った
- 食事の量が長いあいだ大きく減っていた
- 小児がんの治療(化学療法や放射線治療)を受けた
出典 [1]
病気がよくなると、伸びはどう戻ってくる?
伸びを妨げていた原因がよくなると、年齢の標準より速く伸びて、もとの成長曲線の線に近づこうとすることがあります。これをキャッチアップ成長(追いつき成長)と呼びます。米国の研究者らの総説(2011年)は、ステロイドが多すぎる状態や甲状腺ホルモンが足りない状態のあいだは、骨の端にある成長板の「老化」も遅れるため、原因がよくなったあとに速く伸びられると説明しています。しくみは「キャッチアップ成長とは?」のコラムでくわしく説明しています。
どのくらいの期間で伸びが戻るかは、病気の種類や重さ、治療の内容によって違います。1回の測定では分からないため、回復してから数か月〜1年ほどの記録を並べて、伸びの速さが戻っているかを見ていきます。
出典 [2]
伸びが戻りきらないのは、どんなとき?
イスラエルの研究者らによる総説(2015年)は、栄養不足で伸びが落ちた子では、食事が十分にとれるようになると多くの場合は自然に追いつく一方、追いつきが十分でなく、身長の差が残る場合もあるとしています。
病気によっても違いがあります。日本の研究者による小児の炎症性腸疾患の総説(2019年)は、クローン病では診断のときに15〜40%で成長障害がみられ、思春期前に発症した子でその危険が高いとしています。大人になったときの身長は健康な人より低い傾向がありますが、成長障害がある人の割合は診断時より少なくなっていました。同じ総説は、ステロイドをなるべく避け、病気の勢いをしっかり抑えることが、成長を保つために大切だとしています。
身長が伸びるのは、骨端線が閉じるまでです。原因が長く続いたり、思春期の終わり近くまで続いたりすると、追いつくための時間が足りなくなります。回復を待つあいだも、伸びの記録を続けることが大切です。
けがで長く安静にしていたあとは?
日本整形外科学会は、子どもの骨は大人より自然に形を整える力(自家矯正力)が高いことが特徴だとしています。一方で、関節のまわりには力学的に弱い成長軟骨があり、骨端線のあたりの骨折など、子どもに特有の骨折があります。
骨端線のあたりのけがでは、全身の身長の伸びが止まるのではなく、けがをした骨の伸び方に影響が出て、左右の長さの差などにつながることがあると考えられています。国立成育医療研究センターの整形外科も、子どもの骨の治療では成長を考えに入れることが大切で、大人にならないと本当の意味での評価ができない病気もあるとしています。整形外科で指示された期間は、骨がくっついたあとも通院して確かめてもらいましょう。くわしくは「骨端線を骨折すると身長は止まる?」のコラムで説明しています。
ギプスや安静で体を動かせなかった期間があっても、それだけで大人の身長が低くなることを示した資料は、学会や公的機関には見当たりません。動けるようになったら、体を動かす時間を少しずつ戻していきましょう。
療養中や退院後に、家庭で残しておきたい記録は?
あとで伸びが戻ったかを確かめるには、病気の前とあとの記録を比べる必要があります。次のような情報を、日付と一緒にまとめておくと役立ちます。
退院後は、立って測れるようになってから、毎回なるべく同じ時間帯、同じ道具で測りましょう。家での測り方と間隔は「家で身長を測るなら何か月ごと?」のコラムで説明しています。
- 病気になる前の身長・体重(学校の健康診断の記録、母子健康手帳など)
- 入院中や通院中に病院で測った身長・体重(主治医や看護師に聞いておく)
- 病気の期間と、使ったお薬の名前・量・期間(とくにステロイド)
- 食欲や体重の変化
- 退院後、または治療が終わってからの身長・体重
- 思春期のサイン(胸のふくらみ、声変わりなど)に気づいた時期
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どんなときに、誰に相談する?
まず相談したいのは、その病気を診ている主治医です。病気やお薬と成長の関係をいちばんよく知っているのは主治医なので、身長の記録を成長曲線にして見てもらいましょう。とくに次のようなときは、早めに相談してください。
身長が心配でも、ステロイドなど病気を抑えるために必要なお薬を自己判断で減らしたり、やめたりしないでください。小児がんの治療を受けた子では、国立成育医療研究センターが、治療が終わったあとも成長の過程で影響が見えてくることがあるとして、小学校入学前、3〜4年生、中学入学前などの節目に受診することを勧めています。くわしくは「小児がんの治療後の身長は?」のコラムで説明しています。
- 病気がよくなって半年以上たっても、1年の伸びが小さいまま
- 成長曲線の線から下がり続けている
- 体調はよくなったのに、体重が増えない
- 思春期のサインが、年齢に比べて早い、または来ない
心の負担や学校生活の遅れも関係する?
日本小児内分泌学会は、身長の伸びに関わる環境として、心の状態(愛情やストレス)も挙げています。長い療養のあとは、勉強や友達関係の遅れ、体力の落ち込みを気にする子も少なくありません。
睡眠や食事のリズムを少しずつ取り戻し、学校とも相談しながら、無理のないペースで生活を戻していきましょう。気持ちの落ち込みが続くときは、主治医や学校の先生、スクールカウンセラーにも相談してください。
出典 [1]
病気やけがのあとの身長についてよくある質問
Q. 入院中は身長を測っていませんでした。
A. 病院で測っていることもあるので、主治医に聞いてみてください。記録がなくても、病気の前の学校の記録と、これからの記録を比べることで、伸び方は見ていけます。
Q. 体重は戻ってきたのに、身長があまり伸びていません。
A. 回復の途中では、体重が先に戻り、身長はあとからついてくることがあります。数か月ごとの記録を見て、伸びの速さが戻ってこなければ主治医に相談しましょう。
Q. 病気で伸びが落ちた分、成長ホルモン治療が必要になりますか?
A. 多くは原因の治療で伸びが戻るため、すぐに成長ホルモン治療を考えるわけではありません。ただ、病気や治療の影響で成長ホルモンが不足している場合などは、保険診療の対象になることがあります。必要かどうかは、検査の結果をもとに主治医が判断します。
まとめ
長い病気やけがで伸びが落ちても、原因がよくなると伸びが戻ってくることが多い一方、病気の種類や期間、年齢によっては差が残ることがあります。病気の前とあとの記録を残し、伸びが戻らないと感じたら主治医に相談しましょう。
回復したあとの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話)で、記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。対面での検査が必要な場合は、医療機関をご紹介します。
出典 [9]
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- Endocrine Development「Growth plate senescence and catch-up growth」(成長板の老化とキャッチアップ成長に関する総説、2011年、PMC)
- Nutrients「Nutritionally-induced catch-up growth」(栄養と追いつき成長に関するレビュー、2015年、PubMed)
- Translational Pediatrics「Growth failure in pediatric onset inflammatory bowel disease: mechanisms, epidemiology, and management」(2019年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 日本整形外科学会「小児の骨折」
- 国立成育医療研究センター「整形外科」
- 国立成育医療研究センター 小児がんセンター「長期フォローアップ科」
- ノビケア「お問い合わせ」