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若年性特発性関節炎と身長:炎症と治療薬が成長に与える影響
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
若年性特発性関節炎(JIA)は、16歳未満で始まり6週間以上続く、原因の分からない関節の炎症です。炎症が長く続くことや、治療に使うステロイドの薬によって、背の伸びが落ちたり、思春期が遅れたりすることがあります。炎症のある関節の近くだけ骨の伸び方が変わり、脚の長さに左右差が出ることもあります。炎症をしっかり抑えることが、成長を守ることにもつながります。
若年性特発性関節炎とは、どんな病気?
厚生労働省の指定難病の資料では、若年性特発性関節炎は、16歳未満に始まり、6週間以上続く原因不明の慢性の関節炎と定義されています。免疫のしくみが自分の体を攻撃することが土台にあると考えられています。
難病情報センターによると、子ども1万人あたり1人にみられ、成人期になっても約6割の患者さんは通院や治療が必要で、全体でおよそ8,000人と考えられています。高い熱や発疹をともなう「全身型」が約30〜40%を占め、関節の症状が中心の「関節型」には、少関節炎や多関節炎などの型があります。
小さな子は関節の痛みを言葉で伝えられないことがあります。同じセンターは、午前中に機嫌が悪い、抱っこをせがむ、触られるのを嫌がる、といった様子がみられると説明しています。
どんな様子のときに受診する?
難病情報センターは、全身型では、関節の腫れや痛みとともに高い熱が続き、80%以上で発疹がみられると説明しています。40℃を超える熱が急に出て、解熱薬を使わなくても短い時間で下がることを、数週間くり返すのが特徴です。発疹は鮮やかな赤色で、熱が出るときに現れたり濃くなったりします。
関節型では、指の小さな関節から膝・手首・肩などの大きな関節まで炎症が起こり、痛みは朝に強く、こわばりをともないます。腫れや痛みのために関節を動かさなくなったり、ぎこちない歩き方になったりします。こうした様子が続くときは、小児科で相談してください。熱が続いてぐったりしているときは、早めに受診しましょう。
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なぜ、背の伸びに影響するの?
指定難病の資料は、長く続く炎症が栄養障害や低身長の原因になると説明しています。小児のリウマチの病気と成長についての総説(2026年)は、長く続く炎症、ホルモンの働きの変化、栄養不足、思春期の遅れ、体を動かす量の減少、薬(とくにステロイド)の影響が重なって成長が妨げられると説明しています。
治療に使うステロイドの飲み薬も、量が多く期間が長いと、背の伸びを抑えることがあります。全身型では、病気の勢いが強い時期に多くのステロイドが必要になることがあります。ステロイドと身長の関係は「ステロイドの飲み薬・クッシング症候群と身長」のコラムでくわしく説明しています。
同じ資料は、第二次性徴の遅れも一般より多いとしています。思春期が遅れると、その時期の伸びも後ろにずれます。
脚の長さに左右差が出ることがあるのはなぜ?
炎症が片方の膝など一部の関節に強いと、その近くの成長板だけが影響を受けます。子どもの脚の長さの左右差をまとめた総説(2025年)は、炎症の場所や始まった年齢によって、炎症のある側の骨の伸びが遅くなることも、逆に速くなることもあると説明しています。
左右差は治療のいらない軽いものから、成長板が早く閉じたり、5cm以上の差になったりする重いものまであるとされています。指定難病の資料も、成人期に達した患者さんの半数に、脚の長さの差や小さなあご(小顎症)などの成長障害がみられるとしています。歩き方の変化や靴の減り方の左右差に気づいたら、主治医に伝えてください。差が大きい場合は、整形外科で中敷きなどによる調整や、手術を検討することがあります。
治療で、伸びはよくなる?
関節型の治療の中心はメトトレキサートという抗リウマチ薬で、効果が足りない場合などに生物学的製剤やJAK阻害薬が使われます。全身型はステロイドが治療の中心ですが、病気の勢いが落ち着かない場合などに生物学的製剤が使われます。難病情報センターは、生物学的製剤の登場で、少ないステロイドで落ち着いた状態を保てたり、ステロイドをやめられたりする患者さんが増えたと説明しています。
生物学的製剤と成長の関係を調べた12研究(1,513人)のまとめでは、治療前に成長の遅れがあった子は15%、伸びが落ちていた子は75.4%でしたが、治療後はそれぞれ8%と36.8%に減っていました。伸びの追いつきは治療の最初の1年に目立ったという研究もありました。一方で、全身型の子では変化が小さい傾向があり、複数の生物学的製剤を使った子では伸びの改善が小さめでした。対象の子の平均年齢は11.4歳、使われた薬の75.8%はTNFを抑える種類で、治療開始後の観察期間は平均2年でした。研究の数は多くなく、効果には個人差があります。
成長ホルモン治療をすることはある?
海外では、ステロイドを長く使った重いJIAの子に成長ホルモンを使った研究があります。フランスの臨床試験に参加した子の大人の身長を調べた報告では、成長ホルモンを中央値で6.5年使い、身長のSD(標準からの差)は治療前の−2.9から大人で−1.7に改善しました。ただし、両親の身長から見込まれる高さまでは届かず、治療を始めた年齢が高い子、始めたときの身長が低い子、炎症の値(CRP)が高い子ほど、よい結果になりにくかったとされています。
国内の成長ホルモン製剤の添付文書で承認されている病気に、関節炎による低身長は含まれていません(承認されている病気は「成長ホルモン製剤の種類は?」のコラムで説明しています)。治療の中心は、関節炎そのものを抑えることです。身長のことは、まずリウマチの主治医に相談してください。
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毎日の生活で、気をつけることは?
難病情報センターは、関節炎が続いているときは関節を守り、負担のかかる運動や作業を控えるよう勧めています。運動の強さや装具の使い方は、時期や関節ごとに違うため、主治医やリハビリの担当者と相談します。
ステロイドや抗リウマチ薬、生物学的製剤を使っている間は、感染症が重くなりやすいため、手洗いなどの対策が大切です。同じセンターは、こうした治療中でも、不活化ワクチンやmRNAワクチンの予防接種は受けられるとしています(生ワクチンは別に相談が必要です)。ステロイドを多く長く使っている場合は、骨折にも注意が必要とされています。十分な睡眠とバランスのよい食事は、体調を保つうえでも成長のうえでも大切です。
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治療中、家族が確かめておきたいことは?
成長への影響を早く見つけるには、記録が役立ちます。次のような点を、受診のときに主治医と確認しておきましょう。
- 身長と体重を定期的に測り、成長曲線に記録しているか
- ステロイドの量と、減らしていく予定
- 脚の長さの差や、歩き方の変化がないか
- 思春期の始まりが遅れていないか
- 抗核抗体が陽性の子や少関節炎の子などでは、症状がなくても眼科の定期検診を受けているか(ぶどう膜炎は約5〜10%にみられます)
若年性特発性関節炎と身長についてよくある質問
Q. 背が伸びないのが心配なので、ステロイドを早くやめてもいいですか?
A. 自己判断で減らしたりやめたりすると、病気がぶり返したり、体調が急に悪くなったりすることがあります。必ず主治医と相談してください。
Q. 運動はしてもいいですか?
A. 難病情報センターは、関節炎が続いているときは関節に負担のかかる運動を控え、落ち着いているときはストレッチや散歩程度で体を動かす習慣が大事だとしています。内容は主治医やリハビリの担当者と相談してください。
Q. 成長痛と見分けられますか?
A. 関節が腫れている、朝にこわばる、痛みが何週間も続く、熱が続くといった場合は、成長痛とは考えにくいため、小児科を受診してください。
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まとめ
若年性特発性関節炎では、炎症やステロイドの薬、思春期の遅れなどが重なって背の伸びが落ちることがあり、関節の場所によっては脚の長さに差が出ることもあります。炎症を抑える治療を続けながら、成長の記録を主治医と一緒に見ていくことが大切です。伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。検査が必要な場合や、保険診療の対象になりうる場合は、対面の医療機関をご紹介します。
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お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 厚生労働省 指定難病検討資料「107 若年性特発性関節炎」(概要・診断基準等、PDF)
- 難病情報センター「若年性特発性関節炎(指定難病107)」
- Pediatric Annals「Growth Disturbances in Children With Rheumatologic Diseases」(Sule S、2026年、PubMed)
- Frontiers in Medicine「Inflammation-induced leg length discrepancy in children: from molecular mechanisms to clinical implications」(Aeppli TRJ ほか、2025年、PMC)
- PLoS One「Effect of biologic treatments on growth in children with juvenile idiopathic arthritis: A systematic review」(Makhlouf Y ほか、2025年、12研究・1,513人、PMC)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Growth Outcomes After GH Therapy of Patients Given Long-Term Corticosteroids for Juvenile Idiopathic Arthritis」(David H ほか、2017年、フランスの臨床試験の58人、PubMed)
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