ノビケア トップ > コラム > 成長ホルモン治療

成長ホルモン治療読む時間 約6分

毎晩の注射を子どもが嫌がるようになったら:理由の聞き方と、続けるための工夫

公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日

続けていた注射を子どもが途中から嫌がるようになるのは、珍しいことではありません。痛みが強くなった、寝る前の時間が減るのが嫌、友だちに知られたくない、何のために打つのか分からないなど、理由は子どもによって違います。注射の直前ではなく落ち着いた時間に、責めずに気持ちを聞き、理由に合わせた工夫を一緒に考えましょう。打てない日が続くときは、自己判断でやめたり量を変えたりせず、主治医に正直に伝えてください。

続けていた注射を、途中から嫌がるのは珍しい?

イタリアで毎日型の成長ホルモン治療を1年以上受けていた70人を調べた研究(Frontiers in Endocrinology誌、2025年)では、治療にともなうストレスがあると答えたのは41.4%、針への恐怖は25.7%、治療のことで友だちに対して気まずさを感じていたのは22.9%でした。多くの子どもがきちんと注射を続けていた一方で、こうした負担を抱えていたことになります。

フランスで毎日の注射を受けていた子どもを調べた研究(Endocrine Connections誌、2023年)でも、治療の負担は治療期間が長くなっても軽くなるとは限らず、打てた割合は期間が長くなるにつれてわずかに下がっていました。始めたころは平気だった子が、何年かたって嫌がるようになるのは、自然な変化の一つと考えてよいでしょう。

出典 [1] [2]

嫌がる理由には、どんなものがある?

治療を続けにくくする要因をまとめた研究(Hormone Research in Paediatrics誌、2018年)では、病気や治療についての理解が足りないこと、注射の痛みや不快さ、医療者との関係のよしあしが、変えられる要因として挙げられています。家庭でよく聞かれる理由には、次のようなものがあります。

出典 [3]

理由は、どう聞けばよい?

注射の直前は、子どもも保護者も気持ちが張りつめています。理由を聞くのは、昼間や週末など、落ち着いて話せる時間にしましょう。国立成育医療研究センターのチャイルドライフサービス室は、注射を嫌がるのは当然の気持ちだとし、まず「痛いから嫌なのね」と気持ちを受け止めるよう勧めています。

厚生労働省の子どものこころについてのサイトでは、子どもの話を聞くときは、まず聞き役に徹し、否定したり自分の意見をはさんだりしないこと、「あなた」ではなく「私」を主語にして気持ちを伝えること、「なぜ」より「どんなふうに」と聞くことを勧めています。たとえば、次のような言い方があります。

出典 [4] [5]

痛みが理由のときは?

前より痛いと言うときは、注射する場所を確かめましょう。添付文書では、注射する場所を広い範囲から選び、順番に移動して、短いあいだに同じ場所に続けて打たないこととされています。同じ場所に打ち続けると、しこりやへこみができることがあり、手引きでも注射部位を毎日変えるよう指導するとしています。

診療ガイドラインの手引きでは、冷蔵する薬は注射の約30分前に冷蔵庫から出し、室温にしてから打つのが望ましいとしています。冷蔵庫から出すタイミングは、製剤ごとの説明書に従ってください。痛みを減らすそのほかの工夫は「成長ホルモン注射の痛みを減らす工夫と、注射を嫌がる子への声かけ」のコラムで紹介しています。

出典 [6] [7]

時間や気持ちが理由のときは?

1型糖尿病の子どもについての診療ガイドライン(日本糖尿病学会・日本小児内分泌学会、2024年)では、学童期は子どもの自発性や努力に目を向けて受け止め、子どもと家族が一緒に解決策を考えることが大切だとしています。思春期には、本人の意思決定を尊重するよう勧めています。注射でも、本人が選べることを少しずつ増やすと、「やらされている」気持ちがやわらぐことがあります。

出典 [8] [4]

「なんのために打つの?」と聞かれたら?

理解が足りないことは、注射を続けにくくする要因の一つとされています。年齢に合わせて、「体が育つのを助けるお薬だよ」「先生と一緒に、伸び方を確かめながら使っているんだよ」など、短いことばで説明しましょう。保護者が説明しにくいときは、次の診察で、主治医から本人に直接話してもらうよう頼むのもよい方法です。

このとき、「打てば○cm伸びる」といった約束はしないでください。治療の効果には個人差があり、約束どおりにならなかったときに、本人が自分を責めてしまうことがあります。

出典 [3]

主治医に相談したほうがよいのは、どんなとき?

押さえつけないと打てない日が続く、打てない日が週に何日もある、本人が黙って打たなくなっている、といったときは、次の診察を待たずに主治医に相談しましょう。打てなかった日を自分の判断で取り戻そうとして、2回分をまとめて打つことはしません。

主治医には、嫌がる理由、打てなかった日数、注射したところの様子を伝えてください。注射のしかたや器具、続け方を一緒に見直せる場合があります。思春期の本人が「やめたい」と言う場合は「思春期の子が「注射をやめたい」と言ったら」のコラムも参考にしてください。

出典 [9]

保護者が疲れてしまったときは?

毎晩嫌がる子に注射をするのは、保護者にとっても大きな負担です。ギリシャで毎日の治療を受けていた子ども250人と保護者を調べた研究(Endocrine誌、2025年)では、8歳以上の子どもで打ち忘れが多く、思春期には打てる割合が下がることをふまえて、本人と保護者の両方の話を聞き、困っていることを見つけて対応することが大切だとしています。

一人で抱えこまず、家族で分担したり、主治医や看護師に気持ちを話したりしてかまいません。分担のしかたは「毎日の注射を続ける家族の負担を軽くするには」のコラムで紹介しています。

出典 [10]

ノビケアで治療を受けている場合は?

ノビケアで治療を受けている方も、お子さまが注射を嫌がるようになって困っているときは、打てなかった日の様子とあわせてご相談ください。治療を始めるかどうか迷っている段階では、医師による無料相談(ビデオ通話)をご利用いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。

出典 [11] [12]

子どもが注射を嫌がるときによくある質問

Q. ごほうびで釣るのはよくないですか?

A. 打ち終わったあとの小さな楽しみは、続けるきっかけになることがあります。物を増やすより、好きな本を一緒に読む、シールを貼るなど、毎日でも無理なく続けられるものを選ぶとよいでしょう。

Q. 嫌がる日は、休ませてもよいですか?

A. 自分の判断で休むことが続くと、治療の効果に影響することがあります。休むかどうかは主治医に相談してください。

Q. 「注射をしないと背が伸びないよ」と言ってもよいですか?

A. 不安をあおる言い方は、子どもを追いつめてしまうことがあります。効果には個人差もあるため、「一緒に続ける方法を考えよう」と、気持ちに寄りそう言い方を選びましょう。

出典 [4] [13] [5]

まとめ

続けていた注射を嫌がるようになるのは珍しいことではなく、理由は子どもによって違います。落ち着いた時間に気持ちを受け止めながら理由を聞き、痛み・時間・気持ちなど、理由に合わせた工夫を一緒に考えましょう。打てない日が続くときは、自己判断でやめずに、主治医に正直に伝えてください。

出典 [4] [3]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

公式LINEで無料相談を予約する

この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. Frontiers in Endocrinology「Discomfort towards peers causes therapy-related stress in children and adolescents on daily rhGH therapy」(Corica D ほか、2025年、イタリアで毎日型の治療を受けていた70人、PMC)
  2. Endocrine Connections「Treatment burden, adherence, and quality of life in children with daily GH treatment in France」(Coutant R ほか、2023年、毎日型の治療を受けていたフランスの子ども275人、PMC)
  3. Hormone Research in Paediatrics「Identifying Potentially Modifiable Factors Associated with Treatment Non-Adherence in Paediatric Growth Hormone Deficiency: A Systematic Review」(Graham S ほか、2018年、PubMed)
  4. 国立成育医療研究センター チャイルドライフサービス室「お子さんが注射を受けることになったとき」
  5. 厚生労働省 こころもメンテしよう「話を聞くときのポイント」
  6. PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
  7. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
  8. 日本糖尿病学会掲載「小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン2024」Ⅴ.患児・家族の支援(社会・日常生活、年齢時期別の支援、PDF)
  9. PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
  10. Endocrine「Quality of life and treatment burden of children receiving daily growth hormone treatment in Greece」(Christoforidis A ほか、2025年、ギリシャの子ども250人と保護者、PMC)
  11. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  12. ノビケア「お問い合わせ」
  13. PLoS One「Non-compliance with growth hormone treatment in children is common and impairs linear growth」(ニュージーランドで成長ホルモン治療を受けていた子ども177人の全国調査、2011年、PubMed)