ノビケア トップ > コラム > 成長ホルモン治療

成長ホルモン治療読む時間 約9分

成長ホルモン治療の「量」はどう決まる?多く打てばよく伸びる?量と効果・安全

公開日:2026年10月27日 更新日:2026年10月27日

成長ホルモンの量は、病気ごとに添付文書で決められた「1週間に体重1kgあたり」の量が出発点です。そこから体重、伸び方、IGF-1などの検査を見て医師が決めます。量を増やすと1年目の伸びは大きくなりやすいものの、その差は年を追うと小さくなる報告もあり、量に比例して伸びるわけではありません。多すぎる量は副作用を増やすため、家庭の判断で量を変えないでください。

成長ホルモンの量は、何をもとに決めるのですか?

成長ホルモン製剤の添付文書では、子どもの量は「1週間に体重1kgあたり何mg」という形で決められています。毎日型では、その1週間分を6〜7回に分けて皮下に注射します。体重が同じでも、病気によって基準の量が違います。

ノビケアが使うソマトロピンBS(ソマトロピンのバイオ後続品)の添付文書では、子どもの量は次のとおりです。いちばん少ない成長ホルモン分泌不全性低身長症と、ターナー症候群とでは、2倍の開きがあります。

病気ごとの量は、それぞれの病気の子どもの臨床試験の結果をもとに決められています。どの病気の量を使うかは、検査で診断がついているかどうかで決まります。

出典 [1]

治療の途中で、量はどう見直されますか?

体重あたりで決めるため、身長が伸びて体重が増えると、1回の量も見直します。日本内分泌学会などの診療ガイドライン(2023年版)でも、成長ホルモン分泌不全性低身長症では体重に合わせて量を調整するとされています。

体重のほかに、検査の結果も量を見直す材料です。IGF-1(成長ホルモンの働きを受けて体の中で増える物質)は、効いているかと、効きすぎていないかの両方の目安になります。日本小児内分泌学会のSGA性低身長症の治療の手引きは、治療中のIGF-1の測定が量の調節に役立つとしています。週1回型の添付文書は、IGF-1が基準の上限を超えないよう定期的に検査し、必要なら量を減らすよう求めています。

血糖値やHbA1cが上がったときは、量を減らしたり一時的にやめたりすることが添付文書に書かれています。量は「増やす」だけでなく「減らす」方向でも見直します。体重が増えて量が変わるときの確かめ方は、「体重が増えて注射の量が変わると言われたら」のコラムで説明しています。

出典 [2] [3] [4] [1]

量を増やすと、そのぶん伸びるのですか?

量を増やすと伸びが大きくなる傾向は、いくつかの研究で見られています。ただし、量を2倍にすれば2倍伸びるわけではなく、差は治療の1年目に出やすいことが分かっています。

国内で思春期前の成長ホルモン分泌不全症の男の子を対象にした臨床試験の報告(1999年)があります。日本の通常の量(1週間に体重1kgあたり約0.17mg)と、その2〜3倍の量を比べました。1年目の伸びは量が多いほど大きくなりましたが、2年目以降は量による差がはっきりしなくなりました。各グループ5〜15人の小さな試験です。

ソマトロピンBSの添付文書には、先行品(先に承認された毎日型のソマトロピン製剤)を使った国内のSGA性低身長症の試験が載っています。1日あたり体重1kgに0.033mgと0.067mgの2つの量で始め、1年目の伸びの速さは多い量のグループのほうが大きくなりました。2年目からは両方のグループが多い量を使い、4年後の身長のSDスコア(同じ年齢の平均からの離れ方)は、−1.48と−1.49でほぼ同じでした。

原因となる病気が見つからない低身長(特発性低身長)では、欧州などの試験(2005年)があります。1週間に体重1kgあたり0.24mgと0.37mgを、くじで分けて比べた試験(無作為化試験)です。大人の身長まで追えた50人では、治療前の見込みの違いを調整すると、多い量のグループのほうが平均で約3.6cm高い結果でした。治療前の見込みと比べた上乗せは、0.37mgで平均7.2cmで、0.24mgより平均で約1.8cm大きくなりました。どちらも日本の通常の量より多い量です。

出典 [5] [1] [6]

量が多いと、どんな心配がありますか?

量を増やすと、副作用が出やすくなることがあります。別の毎日型のソマトロピン製剤で行われた国内のSGA性低身長症の試験では、副作用が出た割合は、1週間に体重1kgあたり0.23mgで24.2%、0.47mgで41.2%でした。関節の痛みは、0.47mgで11.8%と、少ない量(3.0%)より多く見られました。

患者向けの説明書では、多く使ったときは、まず血糖値が下がる症状(お腹がすく、冷や汗など)が出る可能性があるとしています。次に、血糖値が上がる症状(のどが渇く、尿が増えるなど)です。多すぎる量を長く使うと、額や鼻、あご、手足など体の先が大きくなる「先端巨大症」の症状が出る可能性もあります。

大人になってからの影響を調べた研究もあります。欧州8か国の24,232人をまとめた報告(2020年)では、死亡率と、1日の量や合計の量との関係は見られませんでした。それより前のフランスの調査の中間報告(2012年)では、1日に体重1kgあたり0.05mgを超える量を使った人で、死亡率が高い結果が出ていました。量と長い期間の安全の関係は、まだはっきり結論が出ていません。

そのため、量は伸びへの期待だけでなく、副作用や検査の結果とのつり合いで決めます。量が多いほど、血糖、IGF-1、骨年齢などの確認が大切になります。

出典 [7] [8] [9] [10]

量を多くすると、骨年齢や思春期が早く進みませんか?

骨年齢(手のエックス線で見た骨の成熟の度合い)が速く進むと、骨端線(骨の端にある、骨が伸びる部分)が早く閉じて、伸びる期間が短くなるおそれがあります。量を増やすときは、骨年齢への影響も気になるところです。

2005年と同じ試験で、骨と思春期を調べた解析(2006年)があります。思春期が始まる年齢、進む速さ、骨の成熟の速さに、2つの量で大きな差はありませんでした。

一方、さらに多い量を思春期の前に2年以上使ったオランダの小さな試験(2002年、35人)があります。治療したグループの骨年齢は2年で3.6歳分進み、治療しないグループ(2年で2歳分)より速く進みました。思春期も早く始まり、研究者は、この量では治療で得られる伸びが限られるおそれがあるとしています。量を大きく増やすほど、骨年齢をこまめに確かめる意味が大きくなります。

出典 [11] [12]

家で量を増やしたり減らしたりしてもよいですか?

家庭の判断で量を変えないでください。患者向けの説明書でも、自分の判断で使うのをやめたり、量を加減したりせず、医師の指示に従うよう書かれています。打ち忘れたときも、2回分を一度に注射しないことになっています。

伸びが思ったほどでないときに量を増やすかどうかは、打ち忘れ、測り方、甲状腺の働き、思春期の時期などを確かめてから主治医が判断します。確かめる順番は「成長ホルモン治療で思ったほど伸びないとき」のコラムで説明しています。

頭痛が続く、吐く、見えにくい、のどが渇く、尿が多い、体重が減る、足を引きずる、股や膝が痛いといった様子があるときは、量のことと関係なく、次の診察を待たずに早めに医療機関へ相談してください。

出典 [8] [1]

ノビケアでは、量をどう決めていますか?

ノビケアでは、国内で承認されたソマトロピンBS(ソマトロピンのバイオ後続品)を使い、医師が体重をもとに量を決めます。治療中もオンラインで診察し、身長の伸び、体調、副作用、必要に応じた郵送の血液・尿検査の結果を見ながら量を見直します。

原因となる病気が見つからない低身長では、添付文書に量が定められていません。そのため、医師が研究の結果や安全面を踏まえて量を決め、その考え方をご説明します。「多く打てば早く伸びる」という考え方はとらず、伸びと安全の両方を記録で確かめながら進めます。

出典 [13] [1]

成長ホルモンの量についてよくある質問

Q. 体重が同じなら、だれでも同じ量ですか?

A. 同じとは限りません。病気によって基準の量が違い、伸び方やIGF-1、血糖などの検査の結果によっても調整します。

Q. 量を増やしてほしいと頼むことはできますか?

A. 希望を伝えることはできます。増やすかどうかは、承認された範囲、伸びの記録、副作用や検査の結果を見て医師が判断します。

Q. 週1回型の量は、毎日型の7日分を足したものですか?

A. いいえ。週1回型は成分の作りが違い、製剤ごとに体重1kgあたりの量が決められています。mgの数字どうしを比べることはできません。

Q. 打ち忘れた分を、次の日に足して打ってもよいですか?

A. 2回分を一度に注射しないでください。打ち忘れが続くときは、打つ時間や担当する人の見直しを主治医と相談しましょう。

出典 [1] [14] [8]

まとめ

成長ホルモンの量は、病気ごとに決められた体重あたりの量を出発点に、体重、伸び方、IGF-1や血糖などの検査を見て医師が決めます。増やす方向にも、減らす方向にも見直します。量を増やすと1年目の伸びは大きくなりやすいものの、量に比例して伸びるわけではなく、副作用や骨年齢への影響とのつり合いが大切です。今の量や伸び方が気になるときは、ノビケアの医師による無料相談(予約は公式LINE)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。

出典 [15]

ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)

ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。

費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。

注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。

出典 [13] [15]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

公式LINEで無料相談を予約する

この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
  2. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
  3. 日本小児内分泌学会「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」
  4. PMDA「エヌジェンラ皮下注ペン 添付文書」(2026年7月改訂 第3版)
  5. Acta Paediatrica Supplement「High-dose growth hormone (GH) treatment in prepubertal GH-deficient children」(Yokoya S ほか、1999年。国内の思春期前の成長ホルモン分泌不全症の男の子を対象にした2つの臨床試験、PubMed)
  6. Journal of Pediatrics「Growth hormone (GH) treatment to final height in children with idiopathic short stature: evidence for a dose effect」(Wit JM ほか、2005年、欧州などの特発性低身長の子どもを2つの量で比べた無作為化試験、PubMed)
  7. PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
  8. PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
  9. J Clin Endocrinol Metab「Long-term mortality after recombinant growth hormone treatment for isolated growth hormone deficiency or childhood short stature: preliminary report of the French SAGhE study」(Carel JC ほか、2012年、フランスの6,928人、PubMed)
  10. Lancet Diabetes & Endocrinology「Long-term mortality after childhood growth hormone treatment: the SAGhE cohort study」(Sävendahl L ほか、2020年、欧州8か国で子どものころに成長ホルモン治療を受けた24,232人、PubMed)
  11. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Effect of growth hormone dose on bone maturation and puberty in children with idiopathic short stature」(Crowe BJ ほか、2006年、特発性低身長の子どもを2つの量で比べた無作為化試験の骨の成熟と思春期の解析、PubMed)
  12. Archives of Disease in Childhood「High dose growth hormone treatment induces acceleration of skeletal maturation and an earlier onset of puberty in children with idiopathic short stature」(Kamp GA ほか、2002年、オランダの特発性低身長の子ども35人の無作為化比較試験、PubMed)
  13. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  14. PMDA「ソグルーヤ皮下注 添付文書」(2026年6月改訂 第4版)
  15. ノビケア「お問い合わせ」