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成長ホルモン治療で思ったほど伸びないとき:考えられる理由と主治医と確認すること
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
成長ホルモン治療の伸び方には個人差があり、期待より小さいことは珍しくありません。研究によっては、1年目に反応が乏しいとされる子が4人に1人以上いたという報告もあります。理由は、測り方や注射の打ち忘れのような身近なものから、甲状腺の働きの低下、もとの診断の見直しが必要な場合までさまざまです。自己判断で量を変えたりやめたりせず、記録を持って主治医と確かめましょう。
思ったほど伸びないことは、よくある?
北欧の多施設で、成長ホルモン治療を受けた思春期前の子ども456人を調べた研究(2011年)では、成長ホルモン分泌不全症の子のおよそ半数が、反応が乏しいとする基準のどれかに当てはまっていました。ベルギーの登録データを使った研究(2018年)でも、1年目の身長SDスコアの上がり方が0.5未満だった子は、SGA性低身長症で37%、成長ホルモン分泌不全症で26%でした。
ただし、反応が乏しいとする基準は1つに決まっておらず、どの基準を使うかで割合は変わります。「思ったほど伸びない」と感じたときは、まず何と比べてそう感じたのかを整理することが出発点になります。1年目の伸びの見方は「成長ホルモン治療の効果はいつから分かる?」のコラムで説明しています。
比べ方が合っていないことはある?
伸びの大きさは、もとの病気によって違います。2011年の研究では、ターナー症候群、骨の病気、SGA性低身長症の子どもで、1年目の身長SDスコアの上がり方が小さい子の割合が高い傾向でした。インターネットで見かける数字や、ほかの子の伸びと比べると、実際には目安どおりなのに少なく感じることがあります。
2年目以降は1年目より伸びの速さが落ち着くのが一般的です。治療前の伸びと比べてどうか、同じ病気の子の目安と比べてどうかを、主治医に確認しましょう。
測り方の違いで、少なく見えることは?
身長は1日の中でも変わり、朝のほうが高く測れることがあります。家庭の測定と医療機関の測定、別々の身長計で測った値を比べると、伸びが実際より小さく見えたり大きく見えたりします。
伸びを比べるときは、同じ場所、同じ時間帯、同じ方法で測った値を使うのが基本です。測り方は「朝と夜で身長が違うのはなぜ?」のコラムで説明しています。
測った値を成長曲線に書き込むと、治療を始めてから線に対して上向きに伸びているかが見やすくなります。書き方は「成長曲線の書き方は?」のコラムで説明しています。
出典 [4]
注射の打ち忘れや、薬の扱いは関係する?
毎日の注射を続けるのは、家族にとっても子どもにとっても大変なことです。ニュージーランドで治療中の子ども177人を調べた研究(2011年)では、打ち忘れが多い子は伸びが小さい傾向があり、研究者は効果が十分でないときは打ち忘れの可能性も考えるべきだとしています。打ち忘れがあっても責められることではないので、正直に伝えて、続けやすい方法を一緒に考えましょう。
薬の保管も確認したい点です。たとえばノルディトロピンの添付文書では、使い始めたら冷蔵庫に入れて凍らせないように保存し、決められた日数のうちに使うこととされています。凍らせてしまった、長く冷蔵庫の外に置いた、といった場合は使わずに医療機関に相談してください。打ち忘れたときの考え方は「成長ホルモン注射を打ち忘れたら」のコラムで説明しています。
体の中で、効果を下げる変化が起きていることは?
成長ホルモン製剤の添付文書には、治療中に甲状腺の働きが落ちたり悪くなったりして、治療の効果が下がることがあると書かれています。そのため、治療中は甲状腺の働きを定期的に検査します。甲状腺と身長の関係は「甲状腺の病気と身長」のコラムで説明しています。
また、成長ホルモンを続けて使うと、成長ホルモンに対する抗体ができることがあり、抗体のために効果が弱くなった場合は投与をやめて、ほかの治療を考えるとされています。
日本小児内分泌学会は、心臓、肝臓、消化器などに病気があると、体に十分な栄養を取り込めず身長の伸びが低下すると説明しています。体重が増えていない、おなかの調子が悪い日が続くなどの変化があれば、主治医に伝えましょう。
薬の量や、思春期の時期は関係する?
成長ホルモンの量は、体重をもとに決めます。体が大きくなると必要な量も変わるため、診療ガイドラインの手引きでも体重に合わせて量を調整していくとされています。しばらく量を見直していない場合は、体重の記録を持って相談しましょう。
思春期が進んで骨端線が閉じに近づくと、治療をしていても伸びは小さくなっていきます。添付文書では、SGA性低身長症で二次性徴が始まったあとに1年の伸びが2cmを下回ったときは、投与を中止するとされています。伸びが小さくなった理由が思春期の進み方によるものかどうかは、骨年齢などから主治医が判断します。
量を増やすことはある?
添付文書では、SGA性低身長症とヌーナン症候群について、効果が不十分なときに量を増やせることが定められています。増やすかどうかは、身長のSDスコアの変化や低身長の程度などから総合的に判断するとされています。
量を増やすと、副作用が出やすくなることもあります。国内のSGA性低身長症の試験では、標準的な量のグループで副作用が出た割合は24.2%、その約2倍の量のグループでは41.2%でした。伸びへの期待だけでなく、副作用とのつり合いも含めて主治医と相談することが大切です。
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もとの診断を見直すことはある?
反応が十分でないときに、治療をしている医師が、量を変えるか、もとの診断を見直すかを考えることがあります。ベルギーの研究では、反応が乏しい子のうち、成長ホルモンを使っても体の中でIGF-1があまり増えなかった子は一部にとどまり、それだけが主な理由ではないとしています。
低身長のなかには、骨の病気や遺伝子の違いなど、成長ホルモンの反応が出にくい原因が隠れていることがあります。追加の検査を勧められたときは、その目的を聞いて納得してから受けましょう。検査については「低身長で染色体や遺伝子の検査をするのはどんなとき?」のコラムで説明しています。
主治医と確認したいことは?
次の点を診察の前に整理しておくと、限られた時間でも話がしやすくなります。
- 治療前の1年間と、治療中の1年間の伸び(同じ条件で測ったもの)
- 同じ病気の子の目安と比べて、今の伸びはどうか
- 打ち忘れの回数や、注射を休んだ期間
- 薬の保管の仕方(冷蔵、持ち歩き、旅行のとき)
- 甲状腺などの検査の結果と、体重に合わせた量の見直し
- 思春期の進み具合と骨年齢
- 続ける場合と、やめる場合の見通し
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自由診療の治療で伸びが小さいときは?
原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモンの使用は、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用です。日本小児内分泌学会は、低身長の子どものうち成長ホルモンが適切に使えるのは一部で、それ以外の多くではよい治療効果が期待できないと説明しています。
自由診療で治療を受けていて伸びが小さいと感じるときも、続ける理由、やめる目安、費用とリスクを担当の医師と改めて確認しましょう。ノビケアでは、伸びや体調を定期的に確かめ、続けるかどうかを保護者の方と話し合って判断しています。
成長ホルモン治療で伸びないときによくある質問
Q. 伸びないなら、自分の判断で量を増やしてもよいですか?
A. 量は体重や検査の結果から医師が決めます。量を増やすと副作用が出やすくなることもあるため、自己判断で変えないでください。
Q. 打ち忘れが多いことを医師に言いにくいです。
A. 打ち忘れは伸びを評価するうえで大切な情報です。正直に伝えることで、続けやすい時間帯や方法を一緒に考えられます。
Q. 伸びが小さければ、すぐにやめたほうがよいですか?
A. 測り方や打ち忘れ、甲状腺などの原因を確かめてから判断します。保険診療では病気ごとの基準にもとづいて、主治医が続けるかどうかを決めます。
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まとめ
成長ホルモン治療で思ったほど伸びないことはよくあり、理由には、比べ方や測り方、打ち忘れや薬の保管、甲状腺の働き、体重に合わせた量、思春期の進み方、もとの診断などがあります。自己判断で量を変えたりやめたりせず、記録を持って主治医と一つずつ確かめていきましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Hormone Research in Paediatrics「A comparison of different definitions of growth response in short prepubertal children treated with growth hormone」(北欧の多施設で成長ホルモン治療を受けた思春期前の低身長の子ども456人の後ろ向き研究、2011年)
- International Journal of Pediatric Endocrinology「Poor growth response during the first year of growth hormone treatment in short prepubertal children with growth hormone deficiency and born small for gestational age」(ベルギーの登録データ、2018年、PMC)
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- PLoS One「Non-compliance with growth hormone treatment in children is common and impairs linear growth」(ニュージーランドで成長ホルモン治療を受けていた子ども177人の全国調査、2011年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」