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成長ホルモン治療読む時間 約6分

成長ホルモン治療の効果はいつから分かる?1年目の伸びの見方と見直しの時期

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

成長ホルモン治療の効果は、数か月ごとの診察で身長を測りながら、主に治療を始めてから1年間の伸びを治療前と比べて判断します。国内の臨床試験では、伸びの速さは1年目にもっとも大きくなり、2年目以降は少しずつ落ち着く傾向がありました。1年目の伸び方は、その後の治療を続けるかどうかを考える大切な手がかりになります。

効果は、何で確かめる?

成長ホルモン治療の効果は、身長そのものより、伸びる速さの変化で確かめます。主に使われるのは、1年あたり何cm伸びたかを示す「成長速度(cm/年)」と、同じ性別・年齢の平均からどのくらい離れているかを示す「身長SDスコア」がどれだけ上がったか、の2つです。

治療前の1年間の伸びと、治療を始めてからの1年間の伸びを比べることが基本になります。そのため、治療を始める前の身長の記録が残っていることが大切です。SDスコアの読み方は「SDとパーセンタイルの違いは?」のコラムで説明しています。

出典 [1] [2]

治療を始めて、いつごろから分かる?

治療中は数か月ごとに診察を受け、そのたびに身長と体重を測ります。日本内分泌学会などの診療ガイドライン(2023年版)の治療の手引きでも、診察のたびに身長、体重、二次性徴の有無を確かめるとされています。

ただ、数か月分の伸びは小さく、測り方のわずかな違いでも結果が大きく変わって見えます。国内の臨床試験でも、6か月の伸びを1年分に換算して評価したものがありますが、続けるかどうかの判断は1年ごとに行うのが基本です。保険診療の成長ホルモン製剤の添付文書でも、ターナー症候群やSGA性低身長症などでは、1年ごとに伸びが基準を満たしているかを判定するとされています。

数か月の伸びだけで「効いている」「効いていない」と決めず、1年分の記録がそろうまで同じ条件で測り続けることが大切です。

出典 [3] [1]

1年目と2年目以降で、伸び方は違う?

国内で行われたSGA性低身長症の臨床試験(ノルディトロピンの添付文書に掲載)では、成長速度のSDスコアは治療1年目にもっとも高くなり、2年目、3年目、4年目と少しずつ下がっていきました。下の表は、そのうち標準的な量(体重1kgあたり1週間0.23mg)を使ったグループの平均です。

2年目以降に伸びの速さが落ち着くのは、この試験に限らず見られる傾向です。2年目の伸びが1年目より小さくなっても、それだけで効果がなくなったとは限りません。治療前の伸びや、同じ年齢の子どもの標準の伸びと比べて見ることが大切です。

時期成長速度SDスコア(平均)身長SDスコア(平均)
治療前の1年間−1.70−2.95(治療開始時)
治療1年目2.47−2.43
治療2年目1.11−2.19
治療3年目0.69−1.99
治療4年目0.28−1.88

出典 [1]

病気によって、1年目の伸びは違う?

伸び方は、もとの病気によって違います。同じ添付文書に載っている国内の試験の一つでは、治療歴のない成長ホルモン分泌不全性低身長症の子ども23人の平均の成長速度は、治療前の年3.4cmから、治療1年目には年8.2cmになりました。ターナー症候群の子ども41人では、年3.7cmから年7.2cmでした。

国際的な成長ホルモン治療のデータベース(KIGS)を使った2010年の研究では、伸びの反応は重い成長ホルモン分泌不全症の子どもでもっとも大きいとされています。北欧の多施設の研究(2011年)でも、ターナー症候群、骨の病気、SGA性低身長症の子どもでは、1年目の身長SDスコアの上がり方が小さい子の割合が高い傾向でした。ほかの子の数字とそのまま比べず、同じ病気の中での目安で見ることが大切です。

出典 [1] [4] [5]

1年目の伸びは、なぜ大切?

KIGSの研究では、1年目の伸びと、子どもの年齢や体格などから計算した予測値とのずれが、治療の反応を見る手がかりになるとしています。研究者は、伸びの数字と予測式の両方を使って治療の進め方を決めるよう提案しています。

1年目の反応が十分でないことをどう決めるかには、専門家の間でも複数の基準があります。ベルギーの登録データを使った2018年の研究では、身長SDスコアの上がり方が0.3未満、0.5未満などの基準を比べたところ、基準によって「反応が乏しい」とされる子の割合も、当てはまる子も違っていました。1つの数字だけで判断せず、主治医が記録全体を見て評価します。

出典 [4] [6]

見直しは、いつ、何をもとに行う?

保険診療では、病気ごとの継続基準にもとづいて1年ごとに続けるかどうかを判定します。日本小児内分泌学会は、1年の伸びが1cm未満になったときや骨端線が閉じたときを治療をやめる基準、2cm未満になったときをやめることを積極的に検討する基準として示しています。基準の具体的な内容は「成長ホルモン治療はどのくらいの期間続ける?」のコラムで説明しています。

思春期に入ると、治療をしていなくても伸びが速くなる時期があります。そのため、思春期の時期に重なった伸びを、治療の効果だけで説明できるとは限りません。

出典 [2] [1]

伸びのほかに、治療中に何を一緒に見ていく?

効果の評価は、身長の伸びだけで行うものではありません。診療ガイドラインの手引きでは、骨年齢を思春期の前は1年に1回、思春期に入ったら半年に1回測るとしています。骨の成熟が身長の伸びに比べて速く進んでいないかを確かめることで、あとどのくらい伸びる時間が残っているかの見通しを立てます。

同じ手引きでは、副作用を早く見つけるために、3〜6か月ごとに血液検査、尿検査、甲状腺の検査を行うとしています。伸びがよくても副作用が出ていれば治療の進め方を考え直すことがあり、反対に伸びが小さいときは、検査の結果が原因を探す手がかりになります。お薬の量は体重に合わせて調整していくため、体重の変化も大切な記録です。

出典 [3]

家庭では、どんな記録をつけておくとよい?

身長は朝と夜で差が出ることがあるため、家庭で測るときも、できるだけ同じ時間帯に同じ方法で測りましょう。正しい測り方は「朝と夜で身長が違うのはなぜ?」のコラムで説明しています。

注射を打ち忘れた日があれば、その回数もメモしておくと、伸びを評価するときの手がかりになります。治療中に思ったほど伸びないと感じたときに確かめることは、「成長ホルモン治療で思ったほど伸びないとき」のコラムで説明しています。

出典 [7]

自由診療で治療を受けている場合は?

原因となる病気が見つからない低身長への成長ホルモンの使用は、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用です。このコラムで紹介した臨床試験の数字や保険診療の継続基準は、承認された病気についてのもので、適応外使用にそのまま当てはまるものではありません。

自由診療で治療を受ける場合も、どの記録をもとに、いつ効果を評価し、どのような場合にやめるのかを、始める前に担当の医師に確認しておきましょう。ノビケアでも、治療の効果を定期的に確かめ、続けるかどうかを判断しています。

出典 [8] [9]

成長ホルモン治療の効果の見方についてよくある質問

Q. 3か月であまり伸びていません。効いていないのでしょうか?

A. 数か月分の伸びは測り方の違いの影響を受けやすく、それだけでは判断できません。1年分の記録を見て、治療前の伸びと比べます。

Q. 2年目に伸びが小さくなりました。量を増やせば戻りますか?

A. 2年目以降に伸びの速さが落ち着くのは、よく見られる傾向です。量を変えるかどうかは、病気や体重、検査の結果から主治医が判断します。

Q. 1年目の伸びで、最終身長も分かりますか?

A. 1年目の伸びは見通しの手がかりになりますが、思春期の時期などによっても変わるため、最終身長を言い当てられるものではありません。

出典 [4]

まとめ

成長ホルモン治療の効果は、数か月ごとに身長を測りながら、主に1年間の伸びを治療前と比べて判断します。伸びの速さは1年目にもっとも大きく、2年目以降は落ち着く傾向があり、反応の大きさは病気によっても違います。見直しは記録全体をもとに主治医と行いましょう。

出典 [1]

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
  2. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  3. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
  4. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Observed and predicted growth responses in prepubertal children with growth disorders: guidance of growth hormone treatment by empirical variables」(国際的な成長ホルモン治療のデータベースKIGSの思春期前の子ども、2010年)
  5. Hormone Research in Paediatrics「A comparison of different definitions of growth response in short prepubertal children treated with growth hormone」(北欧の多施設で成長ホルモン治療を受けた思春期前の低身長の子ども456人の後ろ向き研究、2011年)
  6. International Journal of Pediatric Endocrinology「Poor growth response during the first year of growth hormone treatment in short prepubertal children with growth hormone deficiency and born small for gestational age」(ベルギーの登録データ、2018年、PMC)
  7. PLoS One「Non-compliance with growth hormone treatment in children is common and impairs linear growth」(ニュージーランドで成長ホルモン治療を受けていた子ども177人の全国調査、2011年、PubMed)
  8. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  9. ノビケア「お問い合わせ」