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成長ホルモン治療読む時間 約7分

成長ホルモン治療のよくある誤解:「打てば必ず伸びる」「大人になってもできる」など

公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日

成長ホルモン治療は、骨端線が閉じる前の子どもで、身長が伸びる速さを高めることを目指す注射の治療です。打てば必ず伸びる治療ではなく、伸び方には個人差があります。骨端線が閉じたあとは身長を伸ばす効果がなく、大人に使う成長ホルモン治療は、背を伸ばすためのものではありません。よく聞く誤解を、学会や添付文書の説明にそって整理します。

「打てば必ず伸びる」は本当?

本当ではありません。成長ホルモン治療の伸び方には個人差があります。ベルギーの登録データを使った研究(International Journal of Pediatric Endocrinology誌、2018年)では、治療1年目の身長SDスコアの上がり方が0.5未満だった子は、SGA性低身長症で37%、成長ホルモン分泌不全症で26%でした。

日本小児内分泌学会も、1年の伸びが一定より小さい場合は、治療をやめる、またはやめることを積極的に考える基準を示しています。効果が十分でない子がいることを前提に、効果を確かめながら続けるかどうかを判断する治療です。思ったほど伸びないときの考え方は「成長ホルモン治療で思ったほど伸びないとき」のコラムで説明しています。

出典 [1] [2]

「大人になってもできる」は本当?

身長を伸ばす目的では、できません。日本小児内分泌学会は、思春期の後半に骨の成長板(骨端線)が閉じると、成長ホルモンが働いても骨は長さの方向に伸びなくなり、骨端線が閉じている場合には成長ホルモン治療に身長を伸ばす効果はないと説明しています。患者向けの医薬品ガイドでも、子どもの低身長に対する効能は、どれも「骨端線閉鎖を伴わない」ことが条件です。

大人の成長ホルモン治療という言葉を聞くことがありますが、これは重い成人成長ホルモン分泌不全症の人を対象に、体の組成や代謝を整えるための治療です。日本内分泌学会も、この病気を、生活の質が下がり、体脂肪が増え、筋肉や骨の量が減る病気として説明しています。背を伸ばす治療ではありません。

出典 [2] [3] [4]

「伸びが止まりかけてからでも間に合う」?

伸びがかなり小さくなってからでは、効果はあまり期待できません。日本小児内分泌学会は、1年の伸びが1cm未満になった場合や骨端線が閉じた場合を治療をやめるべき基準、2cm未満になった場合をやめることを積極的に考える基準としています。

中学生や高校生で相談する場合は、骨年齢などで残りの伸びる期間を確かめることが出発点になります。考え方は「中学生から成長ホルモン治療は間に合う?」のコラムで説明しています。

出典 [2]

「背が低ければ、保険で受けられる」?

背が低いだけでは、保険の対象にはなりません。保険の成長ホルモン治療は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、SGA性低身長症など、製剤ごとに国が承認した病気が対象で、身長や1年の伸び、検査の結果などの基準を満たす必要があります。小児慢性特定疾病の医療費助成も、令和6年4月から保険診療と同じ基準で判定されています。

原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれない適応外使用で、保険や医療費助成は使えない自由診療になります。重い副作用が起きた場合も、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として対象になりません。保険が使える場合は「成長ホルモン治療が保険で受けられるのはどんな場合?」のコラムで説明しています。

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「背が低い子は、治療しないと大人になっても低いまま」?

そうとは限りません。日本内分泌学会は、一般の子どもの2〜3%が低身長と判断されるものの、そのうち90%以上には治療が必要な病気は見つからないと説明しています。日本小児内分泌学会も、子どもの身長が低い原因の多くは、両親も背が低いなどの遺伝や体質によるものだとしています。

思春期が遅めに来るタイプの子では、子どものうちは低めでも、伸びる期間が長く続くことがあります。一方で、病気が原因の低身長では、早く見つけて治療することが大切です。治療が必要かどうかは、伸び方の記録と診察・検査で医師が判断します。治療をしない場合の見通しは「成長ホルモン治療をしなかったらどうなる?」のコラムで説明しています。

「量を増やせば、もっと伸びる」?

量は、病気の種類と体重にあわせて医師が決めます。日本小児内分泌学会は、投与量が多すぎると、筋肉痛、手根管症候群、むくみ、血圧の上昇、心臓の筋肉が厚くなる変化、血糖の異常などの副作用が出るおそれがあると説明しています。

患者向けの医薬品ガイドも、自分の判断で使うのをやめたり、量を加減したりせず、医師の指示に従うよう求めています。多く使いすぎた場合には血糖が下がったり上がったりすることがあり、長いあいだ使いすぎると、額や鼻、あご、手足などが大きくなる症状が出るおそれがあるとしています。

出典 [2] [3]

「体の中にあるホルモンだから、副作用はない」?

副作用はあります。ソマトロピン製剤の患者向け医薬品ガイドは、注意が必要な重い副作用として、けいれん、甲状腺の働きが強くなりすぎる病気、ネフローゼ症候群、糖尿病を挙げています。治療中は、血糖や甲状腺の働きを定期的に調べることがあります。

また、悪性腫瘍のある人は使えないとされています。治療を考えるときは、効果だけでなく、こうした確認が続くことも含めて説明を受けましょう。副作用の種類と治療中の確認は「成長ホルモン治療の副作用と、治療中に確認すること」のコラムで説明しています。

出典 [3]

「飲み薬やサプリ、スプレーでも同じ」?

同じではありません。日本小児内分泌学会は、今のところ注射以外の方法で成長ホルモンを使って効果があるとは認められておらず、舌の下から吸収させる製剤の効果も科学的に証明されていないとしています。

成長ホルモンの分泌を促すとうたう食品やサプリメントについても、同じ学会は、成長を促す効果は科学的に証明されていないとしています。商品の見分け方は「身長を伸ばすサプリは効く?」のコラムで説明しています。

海外の通信販売などで成長ホルモンとされる薬を個人で手に入れることにも注意が必要です。厚生労働省は、個人輸入される医薬品は、日本の法律にもとづく品質・有効性・安全性の確認がされておらず、健康被害などの危険性があると注意を呼びかけています。

出典 [2] [7] [8]

「一度始めたら、やめられない」?

やめられない治療ではありません。先に紹介した日本小児内分泌学会の基準のように、1年の伸びや骨端線の状態を見て、続けるかどうかを定期的に見直します。効果や副作用を見て、途中で終えることもあります。

ただし、やめるかどうかを家庭だけで決めないことが大切です。医薬品ガイドも、自分の判断で使うのをやめないよう求めています。やめる時期の考え方は「成長ホルモン治療は何歳まで?」、やめたあとのことは「成長ホルモン治療をやめたあと、身長はどうなる?」のコラムで説明しています。

出典 [2] [3]

成長ホルモン治療の誤解についてよくある質問

Q. 週1回の注射の製剤なら、だれでも使えますか?

A. 使えません。週1回型の製剤にも、承認された病気があります。たとえばソグルーヤの患者向け医薬品ガイドでは、子どもでは骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症、ヌーナン症候群における低身長が対象です。

Q. 早く始めるほど、よく伸びますか?

A. 病気の種類や始める時期の身長、思春期の進み方によって違い、一律には言えません。始める時期は、検査の結果をもとに医師と相談します。

Q. 治療をすると、最終的に何cmになりますか?

A. 約束することはできません。効果は、治療前と比べて1年の伸びがどう変わったかで確かめていきます。

出典 [9]

まとめ

成長ホルモン治療は、骨端線が閉じる前に、効果と副作用を確かめながら続ける治療です。必ず伸びる治療でも、大人になってから背を伸ばせる治療でもなく、背が低いだけで保険が使えるわけでもありません。まずは、保険診療や医療費助成の対象になる病気がないかを確かめましょう。

ノビケアの成長ホルモン治療は、原因となる病気が見つからない低身長に対する適応外使用の自由診療で、保険や医療費助成は使えません。医師による無料相談(ビデオ通話)では、治療が必要かどうかも含めてご説明します。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。

出典 [10] [11]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. International Journal of Pediatric Endocrinology「Poor growth response during the first year of growth hormone treatment in short prepubertal children with growth hormone deficiency and born small for gestational age」(ベルギーの登録データ、2018年、PMC)
  2. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  3. PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
  4. 日本内分泌学会「成人成長ホルモン(GH)分泌不全症」
  5. 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン治療について」
  6. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q7 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。」
  7. 日本小児内分泌学会「「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」(2025年9月8日改定)
  8. 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
  9. PMDA「患者向医薬品ガイド ソグルーヤ皮下注」
  10. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  11. ノビケア「お問い合わせ」