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成長ホルモン治療の長期の安全性:大人になってからの影響で分かっていること
公開日:2026年10月27日 更新日:2026年10月27日
子どものころに成長ホルモン治療を受けた人を大人まで追った欧州の大規模調査では、ほかに大きな病気のない成長ホルモン分泌不全症や特発性低身長の人で、死亡率の明らかな増加は見られていません。心臓・血管の病気がやや多かったという報告もありますが、1万人を1年追って約26件と約23件の差で、治療が原因かどうかも分かっていません。
大人になってからの影響は、どう調べられている?
成長ホルモン治療は、多くの場合10代のうちに終わります。大人になってからの影響を知るには、治療を受けた人を何十年も追いかけ、一般の人と比べる調査が必要です。
もっとも大きな調査の一つが、欧州8か国の共同調査SAGhEです。子どものころに治療を受けた24,232人を、のべ40万人年(人数×追った年数)を超えて追い、死亡や病気の起こり方を同じ年齢の一般の人と比べました。
欧州と米国の学会の合同会議の声明(2016年)は、治療を終えたあとも長く安全性を見守り続けることが欠かせないとしています。ここで紹介する結果も、その見守りの途中経過です。
寿命(死亡率)に影響はある?
SAGhEの8か国全体の報告(2020年)は、ほかに大きな病気のない人の死亡率を調べています。成長ホルモン分泌不全症(成長ホルモンだけが足りないもの)と特発性低身長(原因となる病気が見つからない低身長)の人で、死亡率ははっきりとは増えていませんでした。一般の人を1としたとき1.1で、統計的な差はありませんでした。
小さく生まれた子(SGA)のグループでは全体として死亡率が高めでしたが、これはフランスのデータの影響が大きいとされています。もともと重い病気がある人のグループでは死亡率が高く、研究者は、死亡率はもとの病気と結びついていると結論づけています。1日の量や合計の量と死亡率の間に、関係は見られませんでした。
同じ報告では、心臓・血管の病気と血液の病気による死亡が、どのグループでも一般の人より多くなっていました。研究者は、長い期間の見守りを続ける必要があるとしています。
これに先立つフランスの中間報告(2012年)では、治療を受けた人の死亡率は一般の人の1.33倍でした。1日に体重1kgあたり0.05mgを超える量を使った人で、高い傾向がありました。がん全体による死亡は増えていませんでしたが、骨のがんと脳の出血による死亡が多く見られました。
脳卒中や、心臓・血管の病気は増える?
スウェーデンで子どものころに治療を受けた3,408人と、一般の50,036人を最長25年比べた研究(2021年)があります。心臓・血管の病気が起こった数は、1万人を1年追ったときに、治療を受けた人で約26件、一般の人で約23件でした。
割合にすると治療を受けた人で1.69倍で、治療の期間が長い人や、合計の量が多い人で高い傾向もありました。ただ研究者は、治療が原因と結論づけるには限界があり、一人ひとりにとってのリスクは低いとしています。
フランスで子どものころに治療を受けた6,874人を調べた研究(2014年)では、若い大人の年代で、脳卒中が一般の人より多く見られました。とくに脳の出血によるもの、なかでもくも膜下出血が多かったと報告されています。研究者は、治療が原因かどうかをさらに調べる必要があるとしています。
がんは増える?
SAGhEのがんの報告(2017年)では、ほかに大きな病気のない成長障害の人で、がん全体の明らかな増加は見られませんでした。がんが多く見られたのは、主に小児がんの治療を受けたあとに成長ホルモンを使った人の二次がんでした。
がんの治療歴のない人でも、骨のがんと膀胱のがんは統計的に多いという結果があり、研究者はさらに調べる必要があるとしています。30か国で治療を受けた子ども22,311人の観察研究(2019年)では、がんの治療歴のない子どもの最初のがんの起こり方は、一般の人と比べて高くありませんでした。くわしくは「成長ホルモン治療でがんのリスクは上がる?」のコラムで説明しています。
糖尿病など、体の代謝への影響は?
成長ホルモンには血糖値を上げる働きがあり、治療中は血糖やHbA1cを定期的に調べます。同じ合同会議の声明は、成長ホルモン分泌不全症や特発性低身長で治療を受ける子どもが、糖の代謝の異常や2型糖尿病になる頻度はとても低いとしています。
国内で治療を受けた子ども2,345人を追った調査(2017年)では、新たに2型糖尿病と診断されたのは3人(0.13%)でした。3人とも、糖の代謝が悪くなりやすい要因がありました。家族に糖尿病の人がいる、太りぎみといった場合は、治療前に伝えておきましょう。治療中の血糖については「成長ホルモン治療と血糖値」のコラムで説明しています。
これらの結果は、どう受け止めればいい?
ここで紹介した研究は、治療を受けた人と一般の人を比べる観察研究です。治療を受けた人には、小さく生まれた、もともと別の病気があるなど、一般の人とは違う背景があります。多く見られた病気が治療によるものか、もとの体質によるものかは、完全には分けられません。
追われている人の多くは、1980年代から2000年代に治療を始めた人です。当時と今とでは、使われていた量や診断のしかたが違うこともあります。
「何倍」という数字は、もともと起こる数が少ない病気では、実際の差が小さいことがあります。倍率と、実際に起こった数の両方を見ましょう。
治療を終えたあと、本人や家族ができることは?
大人になってから病院にかかるときに伝えられるよう、使った製剤の名前、治療した期間、治療の理由を記録に残しておきましょう。お薬手帳や治療中の記録をまとめて保管しておくと、本人が自分で伝えやすくなります。
成長ホルモン分泌不全症の人の中には、大人になっても治療が必要かを調べ直す人もいます。大人の診療への引き継ぎは「成長ホルモン治療を終えたら:大人の診療への引き継ぎと検査」のコラムで説明しています。
治療中でも治療後でも、突然の激しい頭痛、手足のしびれや動かしにくさ、言葉が出にくいといった様子があるときは、すぐに救急医療機関に連絡してください。のどが渇く、尿が多い、体重が減るといった様子が続くときも、早めに医療機関へ相談しましょう。
ノビケアでは、長期の安全性をどう考えている?
ノビケアの成長ホルモン治療は、原因となる病気が見つからない低身長への使用を含む自由診療で、適応外使用です。ここで紹介した調査には特発性低身長の人も含まれていますが、日本の適応外使用での長期の安全性を調べた大規模なデータは見当たりません。
ノビケアでは、治療を始める前に、がんの治療歴や持病、家族の病気を確かめ、分かっていることと分かっていないことをご説明します。そのうえで、治療を受けるかどうかを一緒に考えます。治療中もオンラインで診察し、必要に応じて郵送の血液・尿検査で血糖や甲状腺の働きなどを確かめます。
長期の安全性についてよくある質問
Q. 子どものころに治療を受けると、寿命が短くなりますか?
A. 欧州8か国の調査では、ほかに大きな病気のない成長ホルモン分泌不全症や特発性低身長の人で、死亡率のはっきりした増加は見られていません。
Q. 心臓や血管の病気が多いというのは、どのくらいの差ですか?
A. スウェーデンの研究では、1万人を1年追ったとき、治療を受けた人で約26件、一般の人で約23件でした。研究者は、治療が原因とは言い切れず、一人ひとりのリスクは低いとしています。
Q. 治療を受けたことは、大人になってからも医師に伝えたほうがよいですか?
A. 伝えておくと安心です。製剤の名前、治療した期間と理由を記録に残し、本人が自分で伝えられるようにしておきましょう。
まとめ
子どものころの成長ホルモン治療について、ほかに大きな病気のない人では、死亡率のはっきりした増加は見られていません。心臓・血管の病気の差は、1万人を1年追って数件です。治療の記録は、大人になるまで残しておきましょう。治療を考えていて安全面が気になるときは、ノビケアの医師による無料相談(予約は公式LINE)でご相談いただけます。
出典 [13]
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Lancet Diabetes & Endocrinology「Long-term mortality after childhood growth hormone treatment: the SAGhE cohort study」(Sävendahl L ほか、2020年、欧州8か国で子どものころに成長ホルモン治療を受けた24,232人、PubMed)
- European Journal of Endocrinology「GH safety workshop position paper: a critical appraisal of recombinant human GH therapy in children and adults」(欧州小児内分泌学会・成長ホルモン研究学会・米国小児内分泌学会の合同会議の声明、2016年、PMC)
- J Clin Endocrinol Metab「Long-term mortality after recombinant growth hormone treatment for isolated growth hormone deficiency or childhood short stature: preliminary report of the French SAGhE study」(Carel JC ほか、2012年、フランスの6,928人、PubMed)
- Neurology「Growth hormone treatment for childhood short stature and risk of stroke in early adulthood」(Poidvin A ほか、2014年、フランスで子どものころに治療を受けた6,874人、PubMed)
- JAMA Pediatrics「Association of Childhood Growth Hormone Treatment With Long-term Cardiovascular Morbidity」(Tidblad A ほか、2021年、スウェーデンの治療を受けた3,408人と一般の50,036人、PMC)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Cancer Risks in Patients Treated With Growth Hormone in Childhood: The SAGhE European Cohort Study」(欧州8か国、子どものころに成長ホルモン治療を受けた23,984人、2017年、PMC)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Safety Outcomes During Pediatric GH Therapy: Final Results From the Prospective GeNeSIS Observational Program」(30か国、成長ホルモン治療を受けた子ども22,311人の観察研究、2019年、PMC)
- Clinical Pediatric Endocrinology「Incidence of diabetes mellitus and neoplasia in Japanese short-statured children treated with growth hormone in the GeNeSIS」(国内で成長ホルモン治療を受けた子ども2,345人、2017年、PMC)
- 日本小児内分泌学会「小児期発症内分泌疾患の成人への移行期医療に関する提言」(PDF)
- 日本内分泌学会「成人成長ホルモン(GH)分泌不全症」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「お問い合わせ」