成長ホルモン治療読む時間 約6分
注射の器具がうまく動かない・薬がもれたときは?よくある困りごとと連絡先
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
注入器のトラブルで困ったときは、まず手元の取扱説明書と、お薬の説明書(患者向医薬品ガイド)を確かめましょう。針をつけたときに薬がもれた場合は、新しい針に取り替えることが添付文書で示されています。それでも直らない、器具が壊れたかもしれないといったときは、無理に使わず、処方を受けた医療機関や薬局、製造販売会社の問い合わせ窓口に相談してください。
器具がうまく動かないとき、まず何を確かめる?
成長ホルモンの製剤は、製剤ごとに専用の注入器や使える注射針が決まっています。日本小児内分泌学会が災害時の使用を想定して作った成長ホルモン製剤の一覧表でも、製剤ごとの専用の注入器と注射針、製薬会社の問い合わせ先が整理されています。ほかの製剤の注入器や、合わない針で代わりに打つことはできません。
うまく動かないときは、慌てて何度も操作する前に、取扱説明書の手順に戻って一つずつ確かめましょう。患者向医薬品ガイドには、注入器の使い方が図とともに載っているものが多く、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページでも読むことができます。どの製剤を使っているかによって手順が違うため、製剤名と注入器の名前を、ふだんからメモしておくと役立ちます。
針をつけたときに、薬がもれたら?
週1回型の製剤の添付文書では、専用の注射針をつけたときに液もれなどの不具合があった場合は、新しい注射針に取り替えるなどの対応を患者さんに十分に指導することとされています。もれに気づいたら、その針は使わずに外し、新しい針をつけ直してください。
毎日型の製剤の一つの患者向医薬品ガイドでは、注射針を斜めにつけないように注意すること、斜めにつけるとペンの液もれの原因になることが書かれています。別の製剤のガイドには、注射針をつけたまま注入器を保管すると、カートリッジに空気が入ったり、薬がもれたりするおそれがあるため、注射のあとは針を外して保管するよう示されています。
針の先から薬が出ない、ボタンが押せないときは?
使い始める前に、少量の薬を押し出して中の空気を抜く操作(空打ち)をする製剤があります。ある製剤のガイドでは、針の先から液が出ない場合は決められた操作を2回までくり返し、それでも出ないときはその製品の使用をやめて、主治医または看護師に相談するよう示しています。
ボタンが押せない、目盛りが回らない、途中で止まってしまう、といったときも、力を入れて押し込まず、取扱説明書でその場合の対応を確かめてください。カートリッジの残りが少なくなると、注射が途中で止まり、足りない量が表示される注入器もあります。この場合の扱いも、製剤ごとにガイドに書かれています。
手順どおりにしても直らないときは、その日の注射をどうするかも含めて、処方を受けた医療機関や薬局に相談しましょう。
注射のあと、皮膚や針の先に薬が残っていたら?
ある毎日型の製剤のガイドでは、注射ボタンを押し切ったあと、針を刺したまま決められた秒数待つこと、針を抜いたときに針の先から薬が少し出ることがあっても、特に問題はないことが書かれています。別の製剤のガイドでは、注射した場所や針の先に液のしずくが見られる場合は、次の注射のときに、針を抜く前に注射ボタンを長めに押してみるよう示しています。
薬がもれたように見えても、足りない分を自分の判断で追加して打たないでください。量が多すぎると、はじめに血糖が下がり、そのあと上がる症状が出るおそれがあることが、添付文書に書かれています。どのくらいもれたら打ち直すかは製剤や状況によって違うため、迷ったら処方を受けた医療機関に確認しましょう。
器具を落とした・ひびが入った・薬の色が変わったときは?
添付文書では、カートリッジにひびが入っている場合や、使っている途中で液の色が変わった場合は使わないこととされています。濁りや黄色っぽい変化があれば使わないとする製剤もあります。注入器を落としたあとに、ひびや部品のゆるみが見つかったときも、そのまま使わずに相談しましょう。
1本の製剤を、きょうだいなど複数の人で使ってはいけないことも、添付文書で決められています。冷蔵庫に入れ忘れた、凍らせてしまったといった保管のトラブルは、製剤ごとに扱いが違います。「成長ホルモン治療中の学校生活」のコラムで、製剤ごとの保管の条件をまとめています。
どこに連絡すればよい?
まずは、お薬を処方した医療機関か、受け取った薬局に連絡してください。その日の注射を打つか休むか、代わりの製品をどうするかを判断できるのは、主治医です。
器具の操作のしかたや不具合については、製造販売会社の問い合わせ窓口でも相談できます。窓口の連絡先は、患者向医薬品ガイドの「この薬についてのお問い合わせ先は?」の欄や、取扱説明書に書かれています。PMDAの「くすり相談窓口」も、医師から処方された薬の使い方などの相談を受け付けていますが、診断や治療についての質問には答えないとしています。
診療ガイドラインの治療の手引きでは、短い中断が大人の身長に与える影響はほとんどないと考えられるとしています。夜に器具が使えなくなっても、慌てて別の方法で打とうとせず、主治医の指示を待ちましょう。週1回型の製剤では、決めた投与日から3日以内なら打てるという決まりがあります。
トラブルに備えて、ふだんからしておくことは?
器具のトラブルは、夜や休日など、すぐに連絡がつきにくいときに起きることもあります。次のような備えをしておくと、落ち着いて対応できます。
- 製剤名、注入器の名前、使っている注射針の種類をメモしておく
- 取扱説明書と患者向医薬品ガイドを、注射の道具のそばに置いておく
- 医療機関、薬局、製造販売会社の連絡先と受付時間を書いておく
- 注射針は、残りが少なくなる前に次の分を確かめておく
- トラブルがあった日と内容を、注射の記録に書いておく
出典 [1]
使えなくなった器具や針は、どう処分する?
環境省の手引きでは、家庭で使った注射針などの鋭いものは、医療機関へ持ち込んで処理する方法がもっとも望ましいとされています。不具合のあった器具をどう扱うかは、すぐに捨てずに、処方を受けた医療機関や問い合わせ窓口に確かめてから処分しましょう。使い終わった針は、ふた付きの硬い容器に入れ、子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
出典 [9]
ノビケアで治療を受けている場合は?
ノビケアで治療を受けている方も、注入器の操作や、薬がもれたときの対応で迷うことがあればご相談ください。治療を始めるかどうか迷っている段階では、医師による無料相談(ビデオ通話)をご利用いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。
注射の器具の困りごとについてよくある質問
Q. 新しい針につけ替えたら、もれが止まりました。そのまま打ってよいですか?
A. 取扱説明書の手順どおりに準備でき、量も正しく合わせられていれば、打てることが多いと考えられます。迷うときは、処方を受けた医療機関に確認してください。
Q. 注入器を持ち歩いていて落としてしまいました。見た目は問題なさそうです。
A. ひびやゆるみがないかを確かめ、少しでも気になる点があれば使う前に相談しましょう。
Q. 器具のトラブルで1日打てませんでした。
A. 2回分をまとめて打たないでください。打てなかった日は記録し、次の診察で伝えましょう。打ち忘れたときの考え方は「成長ホルモン注射を打ち忘れたら」のコラムで説明しています。
出典 [5]
まとめ
注入器のトラブルでは、まず取扱説明書と患者向医薬品ガイドの手順に戻り、針をつけたときのもれは新しい針に替えて対応します。それでも直らないときや、ひび・変色があるときは無理に使わず、処方を受けた医療機関や薬局、製造販売会社の窓口に相談してください。足りない分を自分の判断で追加して打たないことも大切です。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「各種研究・調査」(「成長ホルモン製剤の一覧表」:災害時での使用を想定して作成、各製剤の適応症・専用注入器・注射針・問い合わせ先、2020年10月改訂)
- PMDA「エヌジェンラ皮下注ペン 添付文書」(2026年7月改訂 第3版)
- PMDA「ソグルーヤ皮下注 添付文書」(2026年6月改訂 第4版)
- PMDA「患者向医薬品ガイド ジェノトロピンゴークイック注用」(2024年8月更新)
- PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「くすり相談窓口」(医療用医薬品の使い方などの相談。診断・治療についての質問には答えない)
- 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会(厚生労働科学研究班・日本内分泌学会)「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」(日本内分泌学会雑誌 Vol.99 Suppl.、2023年7月、J-STAGE、PDF)
- 環境省「在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引き」(平成20年3月、PDF)
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」