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治療をしていないきょうだいにどう説明する?家族の気持ちの配り方

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

治療をしていないきょうだいには、年齢に合わせて「体の状態に合わせて、お医者さんが決めた治療」であることを、短く正直に伝えるのが基本です。病気のある子のきょうだいは、寂しさや不公平感を抱えやすい一方で、思いやりが育つこともあると報告されています。家族の目が治療中の子に向きすぎないよう、きょうだいと過ごす時間を意識して作りましょう。

治療をしていないきょうだいは、どんな気持ちになりやすい?

慢性の病気がある子どものきょうだいについて、216の研究をまとめた分析(Journal of Pediatric Psychology誌、2023年)では、健康なきょうだいは、不安や落ち込みなど内側に向かう悩みや、行動面の問題がわずかに多い傾向がありました。ただし差は小さく、自分を大切に思う気持ち(自尊心)には違いがなく、思いやりのある行動はむしろ多いという結果でした。

きょうだいの体験を聞き取った23の研究をまとめた報告(European Journal of Pediatrics誌、2024年)では、親の注意が病気の子に向きやすく、きょうだいの気持ちや必要としていることが見落とされやすいと指摘しています。さまざまな気持ちが入りまじること、自分なりの方法でやり過ごそうとすること、年齢より早く大人びてしまうことなどが、共通して語られていました。

これらの研究の多くは、生活への影響がより大きい病気も含んでいます。毎日の注射が中心の成長ホルモン治療に、そのまま当てはまるとは限りません。それでも、治療中の子に手がかかる家庭では、きょうだいの気持ちにも目を向けておくことが大切だといえます。

出典 [1] [2]

年齢に合わせて、どう説明すればよい?

説明の中身は、どの年齢でも大きくは変わりません。「体の状態に合わせて、お医者さんが決めた治療をしている」「うつる病気ではない」「誰のせいでもない」の3つを、年齢に合った言葉で伝えます。ごほうびや特別扱いではないことも、はっきり伝えておくと誤解が生まれにくくなります。

治療中の子が、病気や治療のことをきょうだいや友だちにどこまで話してよいと思っているかも、先に本人に確かめておきましょう。きょうだいにも「家族の外では、本人がいいと言った範囲で話そうね」と伝えておくと、学校などで思わぬ形で知られることを防ぎやすくなります。

説明は一度で終わりではありません。きょうだいが成長するにつれて、「どうして注射が必要なの?」「いつまで続くの?」と、聞きたいことも変わっていきます。分からない質問には「今度、先生に聞いてみようね」と答え、治療中の子の診察のときに一緒に確かめてもよいでしょう。きょうだいが質問しやすい雰囲気を保つことが、誤解や寂しさをため込まないことにつながります。

年齢の目安伝え方の例
幼児「〇〇ちゃんの体に足りないものを、毎日お薬で足しているんだよ」と短く伝える
小学校低学年「お医者さんが検査をして、この治療が必要だと決めたんだよ。あなたのことも同じように大事に見ているよ」と添える
小学校高学年以上治療の目的と、毎日続ける理由を説明し、疑問があれば一緒に主治医に聞けることを伝える

「自分も注射したい」「ずるい」と言われたら?

背が伸びる注射だと聞くと、きょうだいが「自分も打ちたい」と言うことがあります。成長ホルモン製剤は、検査と診察をもとに、その子の体の状態に合わせて処方される薬です。患者向けの説明書にも、1本の薬を複数の人で使わないこと、余った薬を絶対にほかの人に渡さないこと、子どもが自分で注射する場合はその子以外の人が使わないよう家族が注意することが書かれています。

日本小児内分泌学会は、成長ホルモンの分泌が足りない状態がない大人への治療について、安全性や有用性の十分な根拠は示されていないとしています。「体に足りないものを補う薬なので、足りている人には使わない」と伝えると、子どもにも分かりやすいでしょう。

「ずるい」という言葉の裏には、注射そのものより、治療中の子が親に気にかけてもらっているように見える寂しさが隠れていることもあります。言葉を責めず、「そう感じたんだね」と気持ちを受け止めてから説明しましょう。

出典 [3] [4] [5]

注射の時間に、きょうだいへの目配りが減らないようにするには?

毎日の注射が寝る前の時間に重なると、きょうだいの寝かしつけや宿題を見る時間が削られがちです。次のような工夫で、きょうだいだけの時間を意識して作りましょう。

出典 [2]

小さなきょうだいがいる家で、薬と針はどう扱う?

患者向けの説明書には、薬を子どもの手の届かないところに保管すること、使い終わった針はそのまま容器などに入れて子どもの手の届かないところに置くことが書かれています。小さなきょうだいがいる家では、冷蔵庫から薬を出している間や、打ち終わった針を片づけるまでの間に、目を離さないようにしましょう。

使い終わった針や薬の容器は、処方を受けた医療機関の指示どおりに捨てます。家庭のごみとして出してよいかどうかは、自己判断しないでください。

出典 [3]

きょうだいの身長を比べてしまうときは?

治療が始まると、家族の関心が身長に集まり、きょうだいの身長と比べる会話が増えることがあります。きょうだいで身長が違うのは珍しいことではなく、比べるなら同じ年齢のときの記録どうしで比べるのが基本です。詳しくは「きょうだいで身長が違うのはなぜ?」のコラムで説明しています。

一方で、治療をしていないきょうだいの伸び方も気になる場合は、その子の身長の記録を集めて、かかりつけの小児科に相談しましょう。両親がともに小柄な場合の考え方は「家族性低身長とは?」のコラムで説明しています。

きょうだいの様子で、相談したほうがよいのは?

寝つけない日が続く、食欲が落ちる、おなかや頭の痛みを訴える、学校に行きたがらない、口数が減る、といった「いつもと違う」様子が続くときは、家族だけで抱えずに相談しましょう。厚生労働省のこころの健康に関するサイトも、こうした変化を子どもの心のSOSのサインとして挙げています。先に紹介した分析でも、心の問題が出やすいきょうだいには支援が勧められています。

相談先には、かかりつけの小児科、学校の担任や養護教諭、スクールカウンセラーなどがあります。治療中の子が小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている場合、都道府県などの自立支援事業のなかに、きょうだいを預かる支援などが含まれていることがあります。実施の有無は地域によって違います。

出典 [6] [1] [7]

治療をしていないきょうだいについてよくある質問

Q. きょうだいに、治療のことを内緒にしておいたほうがよいですか?

A. 毎日の注射は家の中で目に入るため、隠すより、年齢に合わせて正直に伝えるほうが誤解が生まれにくくなります。どこまで外で話してよいかは、治療中の子の気持ちも確かめて決めましょう。

Q. きょうだいが注射の手伝いをしたがります。任せてもよいですか?

A. 打つことや針を扱うことは、処方を受けた医療機関で教わった人が行います。記録の印を付ける、終わったら声をかけるなど、安全な形で関わってもらいましょう。

Q. 治療中の子ばかりほめてしまっている気がします。

A. 注射を頑張ることは目に見えやすいため、ほめる機会が偏りがちです。きょうだいのふだんの頑張りにも、言葉にして目を向けましょう。

まとめ

治療をしていないきょうだいには、体の状態に合わせた治療であること、特別扱いではないことを、年齢に合わせて正直に伝えましょう。きょうだいの気持ちは見落とされやすいため、一対一の時間を作り、気になる変化が続くときは相談を。お子さまの伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。

出典 [8]

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. Journal of Pediatric Psychology「Behavior Problems, Self-Esteem, and Prosocial Behavior in Siblings of Children With Chronic Physical Health Conditions: An Updated Meta-Analysis」(Pinquart M、2023年、216研究、PubMed)
  2. European Journal of Pediatrics「Experiences of siblings of children with chronic pediatric conditions: a qualitative systematic review」(Tan RB ほか、2024年、23研究・きょうだい269人、PubMed)
  3. PMDA「患者向医薬品ガイド ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル」
  4. 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
  5. 厚生労働省 こころもメンテしよう「話を聞くときのポイント」
  6. 厚生労働省 こころもメンテしよう「こころのSOSサインに気づく」
  7. 小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」
  8. ノビケア「お問い合わせ」