成長と遺伝読む時間 約6分
きょうだいで身長が違うのはなぜ?遺伝と成長の時期の考え方
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
きょうだいで身長が違うのは、珍しいことではありません。受け継ぐ遺伝の組み合わせがきょうだいごとに違ううえ、性別、思春期が来る時期、生まれたときの体格なども一人ひとり違うためです。比べるなら同じ年齢のときの記録どうしで比べ、一人だけ伸び方が変わってきたときは小児科に相談しましょう。
同じ両親なのに、なぜ身長が違う?
子どもは両親それぞれから遺伝的な性質を受け継ぎますが、どの組み合わせを受け継ぐかは、きょうだいごとに違います。身長には数多くの遺伝的な違いが少しずつ関わっているため、組み合わせの違いが身長の違いとして表れます。
理化学研究所などの研究グループは、日本人の身長に関わる遺伝的な変異が573見つかったと発表しています。一つひとつの影響は小さく、それが重なって個人差が生まれると考えられています。
身長と遺伝の関係そのものは「身長はどのくらい遺伝で決まる?」の記事で説明しています。この記事では、きょうだいの差を考えるときのポイントを取り上げます。
出典 [1]
遺伝がすべてではない?双子の研究から分かること
身長がどのくらい遺伝の影響を受けるかは、双子の研究でも調べられています。8か国の双子約3万組のデータを分析した2003年の研究(Twin Research誌、成人の双子が対象)では、身長のばらつきのうち遺伝で説明される割合は、男性で87〜93%と推定されました。女性では68〜84%などと、国や分析の方法によって幅がありました。
この研究は、身長のばらつきの大きな部分は遺伝の違いによるものの、環境の要因も影響すると述べています。女性では、家族で共有する環境の影響が、男性より大きく出たと報告されています。
きょうだいは同じ家で育つことが多くても、かかった病気や、食事の量、睡眠、打ち込んだ活動などは一人ひとり違います。こうした違いも、きょうだいの身長の差に関わることがあります。
出典 [2]
兄と妹、姉と弟の身長は、どう比べる?
男の子と女の子では、大人になったときの身長が違います。日本小児内分泌学会の英文誌に掲載された論文では、両親の身長から大人の身長の目安を出す式として、男の子は(父の身長+母の身長+13)÷2、女の子は(父の身長+母の身長−13)÷2 が示されています。
つまり、同じ両親から計算しても、男の子と女の子の目安には13cmの差があります。さらに、この目安には男の子で上下9cm、女の子で上下8cmの幅があるとされています。同性のきょうだいでも、この幅の中で身長が違ってくるのは自然なことです。計算の方法は「両親の身長から子どもの最終身長を予測する計算式は?」の記事で説明しています。
身長が最もよく伸びる時期も男女で違います。日本スポーツ協会のガイドは、1年間の身長の伸びが最大になる年齢を、女子で9〜11歳、男子で11〜13歳としています。小学校高学年では姉や妹のほうが大きく見えても、その後に男の子が追いこすことがあります。
思春期の時期が違うと、どう見える?
同じ性別のきょうだいでも、思春期が来る時期は違うことがあります。あいち小児保健医療総合センターは、思春期の早い・遅いには家族歴があることが多いとしたうえで、一般に思春期が遅めのほうが大人の身長は高くなると説明しています。
思春期が早く来た子は成長スパートも早く来るため、同じ学年のころには上の子より大きく見えることがあります。反対に、思春期が遅い子は、同じ年齢のころに上の子より小さく見えても、あとから伸びることがあります。日本スポーツ協会のガイドも、成熟が早い子はその後の伸びしろが小さくなる傾向にあるとしています。
そのため、「上の子はこの学年でもっと大きかった」という比べ方だけでは、どちらが最終的に高くなるかは分かりません。早熟・晩熟の考え方は「早熟と晩熟の違いは?」の記事で説明しています。
生まれたときの体格や、生まれた順番も関係する?
日本小児内分泌学会は、妊娠週数に比べて小さく生まれた子の身長は多くの場合3歳までに追いつくものの、3歳になっても低身長の程度が強い子もいると説明しています。きょうだいの中で一人だけ小さく生まれた場合は、その子の出生時の記録も確認しておきましょう。
生まれた順番と身長の関係を調べた研究もあります。スウェーデンの男性約65万人を兄弟どうしで比べた2013年の研究(Journal of Epidemiology and Community Health誌)では、第1子に比べて、第2子は0.4cm、第3子は0.7cm、第4子は0.8cm、大人の身長が低い傾向がありました。
ただし、この差は1cmに満たない小さなもので、あとの世代ほど差が小さくなっていたとされています。日本の子どもにそのまま当てはまるかは分かりません。きょうだいの間にもっと大きな差がある場合は、生まれた順番で説明しようとせず、それぞれの伸び方を確かめることが大切です。
きょうだいを比べるときのコツは?
比べるなら、今の身長どうしではなく、同じ年齢のときの身長どうしで比べます。母子健康手帳や学校の記録から、上の子が今の下の子と同じ年齢だったときの数字を探してみましょう。
それぞれの記録を成長曲線に書き込むと、2人が同じような線に沿っているのか、どちらかが途中で線を横切っているのかが分かります。性別が違う場合は、日本小児内分泌学会が公開している男女別の成長曲線を使い、それぞれの線の位置を見ます。
同じ学年でも、誕生日によって1歳近い年齢の差があることにも注意しましょう。早生まれかどうかで、学年の中での見え方が変わります。くわしくは「早生まれの子は背が低い?」の記事で説明しています。
相談したほうがよいのは、どんなとき?
きょうだいの差そのものより、一人ひとりの伸び方に変化がないかを見ることが大切です。次のような場合は、記録を持って小児科に相談しましょう。
きょうだいの一人が低身長の病気と診断された場合に、ほかのきょうだいも調べたほうがよいかは、病気によって違います。主治医に相談してください。
- 一人だけ、成長曲線の線を横切るように伸びが落ちてきた
- 同じ年齢・性別の子と比べて大きく離れている(成長曲線の−2SDの線の近くか、それより下)
- きょうだいの中で一人だけ、思春期のサインがかなり早い、または遅い
- 背の伸びが落ちるとともに、疲れやすさ、体重の変化、頭痛などの体調の変化がある
きょうだいと比べられて、子どもが気にしているときは?
きょうだいの身長の差を、子ども自身が気にしていることがあります。「お兄ちゃんはこのころもっと大きかったのに」といった言い方は、本人にとってつらく感じられることがあります。
身長を測るときは、その子自身の記録と比べて「去年より何cm伸びたね」と伝えるようにしましょう。家族ができる声かけは「背が低いことを気にする子どもへの声かけ」の記事でも取り上げています。
ノビケアでは、医師による無料相談で、きょうだいそれぞれの記録を見ながらご相談いただけます。
出典 [9]
きょうだいの身長の違いについてよくある質問
Q. 上の子は平均くらいなのに、下の子だけ小さいのは病気ですか?
A. 遺伝の組み合わせや思春期の時期の違いで、きょうだいの身長が違うことはよくあります。下の子が成長曲線の線に沿って伸びていれば体質のことが多いですが、線を横切って下がってきている場合は相談しましょう。
Q. 双子なのに身長が違います。
A. 二卵性の双子は、ふつうのきょうだいと同じように、受け継ぐ遺伝の組み合わせが違います。一卵性の双子でも、身長に差が出ることがあります。双子の研究では、身長には遺伝だけでなく環境の要因も影響すると報告されていて、差の出方には個人差があります。
Q. 両親の身長からの目安は、きょうだいで同じですか?
A. 同じ性別のきょうだいなら同じ式で同じ目安になりますが、目安には上下8〜9cmの幅があります。実際の身長は、その幅の中でも違ってきます。
まとめ
きょうだいで身長が違うのは、遺伝の組み合わせ、性別、思春期の時期、生まれたときの体格などが一人ひとり違うためで、珍しいことではありません。比べるなら同じ年齢のときの記録どうしで比べ、一人だけ伸び方が落ちてきたときは、記録を持って小児科に相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 理化学研究所「日本人の身長に関わる遺伝的特徴を解明-19万人の解析から日本人の身長に関わる遺伝的要因の謎に迫る-」(2019年10月2日)
- Twin Research「Heritability of adult body height: a comparative study of twin cohorts in eight countries」(8か国の成人双生児約3万組、2003年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会 Clinical Pediatric Endocrinology「Target Height and Target Range for Japanese Children: Revisited」(Ogata T ほか, 2007)
- 日本スポーツ協会「発育期のスポーツ活動ガイド」(PDF、2021年3月)
- あいち小児保健医療総合センター「思春期早発症・遅発症「思春期が早い?遅い?治療が必要なの?」」
- 日本小児内分泌学会「低身長」
- Journal of Epidemiology and Community Health「The association between height and birth order: evidence from 652,518 Swedish men」(2013年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- ノビケア「お問い合わせ」