成長と遺伝読む時間 約7分
双子で身長が違うのはなぜ?
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
双子で身長が違うのは、珍しいことではありません。二卵性の双子は、ふつうのきょうだいと同じように受け継ぐ遺伝の組み合わせが違います。一卵性の双子でも、おなかの中で胎盤を分け合う条件の違いから、生まれたときの大きさに差がつき、その差が小さく残ることがあります。それぞれの子の記録を成長曲線で見て、差が広がっていく、一人だけ伸びが落ちてきたといったときに相談しましょう。
双子は、生まれたときに小さいことが多い?
こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトは、双子や三つ子などの多胎児は早産で生まれることが多く、約7割が2,500g未満の低出生体重児として生まれると説明しています。生まれたときに単胎の子より小さいのは、双子ではよくあることです。
国立成育医療研究センターによると、双胎妊娠の割合は1974〜76年の0.58%から、2021年には1.08%に増えています。早く生まれた子の成長は、出産予定日から数えた修正月齢で見るのが基本です。くわしくは「出生体重・早産と将来の身長」のコラムで説明しています。
双子は、あとから単胎の子に追いつく?
日本の双子557組を調べた研究(1993年)では、生まれたときの体の小ささは6歳までのあいだに取り戻され、学童期には差が見られなかったと報告されています。米国の研究(The Journal of Pediatrics誌、2023年)でも、双子は生まれてから幼児期までは身長や体重が単胎の子より小さめでしたが、7〜9歳にはその差が小さくなっていました。
一方、1960〜1973年生まれの日本の双子を大人まで追った研究(Annals of Human Biology誌、2007年)では、思春期前までの伸びが単胎の子よりゆるやかで、大人の身長が平均で約2.6cm低いという結果でした。この研究は、単胎の子の基準が双子の成長をそのまま表すとは限らないとしています。
研究によって対象の時代や方法が違い、結果にも幅があります。いずれにしても、双子の多くは成長とともに差を縮めていくと考えられ、一人ひとりの伸び方を記録で確かめることが大切です。
一卵性と二卵性で、身長の差の出方は違う?
違いがあります。日本の双子の研究では、生まれたときの似かたは一卵性と二卵性でほぼ同じでしたが、年齢が上がるにつれて、一卵性の双子はより似てきて、二卵性の双子は差が開いていく傾向がありました。
20か国の双子約8万6千組のデータをまとめた研究(Scientific Reports誌、2016年)では、1歳の時点では、身長のばらつきのおよそ半分を、双子が共有するおなかの中や家庭の環境で説明できました。その割合は成長とともに小さくなり、思春期には遺伝で説明できる割合が男の子で最大0.83、女の子で0.76まで高くなっていました。
男の子と女の子の双子は二卵性です。両親の身長から計算する大人の身長の目安は、男女で13cm違い、思春期が来る時期も男女で違います。小学校高学年で女の子のほうが大きく見えても、その後に逆になることはよくあります。
一卵性なのに身長が違うのは、なぜ?
一卵性の双子の多くは、一つの胎盤を二人で分け合う「一絨毛膜双胎」です。国立成育医療研究センターは、このタイプでは、胎盤の血管のつながりによって血液のやりとりがかたよる双胎間輸血症候群や、片方だけ発育が遅れる一児発育不全が起こることがあると説明しています。双胎間輸血症候群は、一絨毛膜二羊膜双胎の約10%に起こるとされています。
オランダで、おなかの中で発育に差があった一卵性の双子47組を調べた研究(European Journal of Endocrinology誌、2023年)では、小さく生まれた子は2歳までに急速に追いつき、8〜11歳には両親の身長から考えられる範囲に入りました。それでも、17歳まで、大きく生まれた子より身長がやや低い状態が続いていました。
このように、生まれたときの差が小さく残ることはありますが、多くは標準の範囲の中の差です。母子健康手帳で、二人の出生時の体重・身長と、妊娠中に指摘されたことを確かめておきましょう。
双子の種類によって、気をつけることは違う?
双子は、胎盤と、赤ちゃんを包む膜(羊膜)の数によって分けられます。国立成育医療研究センターの説明をもとに、主な特徴を表にまとめました。一卵性の双子の約75%は、胎盤を一つ共有する一絨毛膜二羊膜双胎です。
どの種類だったかは、妊娠中の健診で説明を受けていることが多く、母子健康手帳や出産した病院の記録で確かめられることがあります。身長の相談でも、生まれたときの差の理由を考える手がかりになります。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 二絨毛膜二羊膜双胎 | 胎盤が二つ。二卵性はすべてこの種類で、一卵性の一部も含まれる。双胎間輸血症候群は起こらない |
| 一絨毛膜二羊膜双胎 | 一卵性。一つの胎盤を二人で共有し、双胎間輸血症候群や一児発育不全が起こることがある |
| 一絨毛膜一羊膜双胎 | 一卵性で、双胎の中で最もまれ。へその緒どうしが絡まるリスクがある |
出典 [2]
双子の思春期は、同じころに来る?
一卵性の双子は、思春期の時期も似ることが多いと考えられますが、二卵性の双子、とくに男の子と女の子の双子では、思春期が始まる時期が大きく違うことがあります。思春期に入ったほうが一時的に大きく伸びるため、その時期だけ差が開いて見えることがあります。
先に紹介した日本の双子の研究(2007年)では、一卵性の双子は二卵性の双子より成熟が早く、どちらも単胎の子よりは遅めだったと報告されています。思春期の時期と身長の関係は「早熟と晩熟の違いは?」のコラムで説明しています。
出典 [5]
双子の成長曲線は、どう見ればよい?
二人の記録は、それぞれ別の成長曲線に書き込みます。早く生まれた場合は、3歳ごろまでは修正月齢で見ることが多いとされています。そのうえで、次の点を確かめましょう。
双子どうしの比較だけでは、二人とも標準より大きく下にいることや、二人とも伸びが落ちていることを見逃しやすくなります。必ず、同じ年齢・性別の標準の線とも比べましょう。成長曲線の書き方は「成長曲線の書き方は?」のコラムで説明しています。
- それぞれが、同じ線に沿って伸びているか
- 二人の差が、年齢とともに縮んでいるか、変わらないか、広がっているか
- 二人とも、標準の範囲の中にいるか
どんなときに相談したほうがよい?
双子の一人だけが小さいからといって、すぐに病気というわけではありません。次のような場合は、二人分の記録を持って小児科で相談しましょう。
妊娠週数に比べて小さく生まれ、その後も追いつかない場合は、SGA性低身長症として成長ホルモン治療の対象になるか検討されることがあります。双子の場合に、生まれたときの大きさをどの基準で判断するかは、医師に確認してください。くわしくは「SGA性低身長症とは?」のコラムをご覧ください。
- 3歳を過ぎても、一人または二人とも標準よりかなり小さい
- 二人の差が、年齢とともに広がっている
- 一人だけ、成長曲線の線を横切って下がってきた
- 一人だけ、思春期のサインがとても早い、または遅い
出典 [11]
双子どうしで比べられるのが、つらそうなときは?
双子は、周りから「大きいほう」「小さいほう」と呼ばれるなど、身長を比べられやすい立場にあります。家族は、二人を比べる言い方を避け、それぞれの「去年より伸びた」ことを伝えるようにしましょう。
多胎児の子育ては負担が大きく、こども家庭庁は、多胎の家庭を支える事業について、お住まいの自治体(こども家庭センターなど)に相談するよう案内しています。声かけの工夫は「背が低いことを気にする子どもへの声かけ」のコラムでも取り上げています。
出典 [1]
双子の身長についてよくある質問
Q. 一卵性なら、大人になると同じ身長になりますか?
A. 似た身長になることが多いですが、まったく同じになるとは限りません。おなかの中での発育の差が、小さく残ることも報告されています。
Q. 双子は、単胎の子と同じ成長曲線で見てよいですか?
A. 一般的には同じ成長曲線で見ます。早く生まれた場合は、修正月齢を使うかどうかも含めて、健診や小児科で確かめてください。
Q. 小さいほうの子にだけ、多めに食べさせたほうがよいですか?
A. 食べさせすぎは、体重だけが増えることにつながります。身長と体重のバランスを成長曲線で確かめながら、気になるときは相談しましょう。
まとめ
双子で身長が違うのは、二卵性では遺伝の組み合わせの違い、一卵性でも胎盤の分け合い方などによる生まれたときの差があるためで、珍しいことではありません。二人の記録をそれぞれ成長曲線に書き、差が広がる、一人だけ伸びが落ちるといったときに相談しましょう。伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、お二人分の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬を処方する2回目の診察には、お子さまにも参加していただきます。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- こども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト「多胎児の育児に関するサポートなど|多胎を妊娠・出産した方へ」
- 国立成育医療研究センター「多胎妊娠外来」(双胎の種類、双胎間輸血症候群、一児発育不全)
- Acta Geneticae Medicae et Gemellologiae「Physical growth of Japanese twins」(Ooki S・Asaka A、1993年、日本の双子557組ほか、PubMed)
- The Journal of Pediatrics「Longitudinal Child Growth Patterns in Twins and Singletons in the Upstate KIDS Cohort」(Gleason JL ほか、2023年、米国の双子と単胎の子ども、PMC)
- Annals of Human Biology「Biological variables in height growth of Japanese twins: a comparison with those of singletons」(Ali MA ほか、2007年、1960〜1973年生まれの日本の双子、PubMed)
- Scientific Reports「Genetic and environmental influences on height from infancy to early adulthood: An individual-based pooled analysis of 45 twin cohorts」(Jelenkovic A ほか、2016年、20か国の双子86,037組、PMC)
- 日本小児内分泌学会 Clinical Pediatric Endocrinology「Target Height and Target Range for Japanese Children: Revisited」(Ogata T ほか, 2007)
- European Journal of Endocrinology「Fetal growth restriction inhibits childhood growth despite catch-up in discordant identical twins: an observational cohort study」(Groene SG ほか、2023年、オランダの一絨毛膜双胎47組、PubMed)
- こども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト「小さく生まれた赤ちゃんの成長・発達」
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
- 日本小児内分泌学会「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」
- ノビケア「お問い合わせ」