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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
成長ホルモンとは?どこで作られ、何をする?
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
成長ホルモンは、脳の下垂体という部分で作られて血液中に出るホルモンです。肝臓などでIGF-1という成長因子を作らせ、骨の軟骨成長板に働いて骨を伸ばすことで、身長の伸びに関わります。身長が伸び終わったあとも、代謝や筋肉の維持などに働いています。
成長ホルモンは、どんなホルモンですか?
日本内分泌学会は、成長ホルモンを、骨が長くなること、つまり身長が伸びることに最も重要なホルモンだと説明しています。
日本小児内分泌学会によると、成長ホルモンは192個のアミノ酸がつながってできた、たんぱく質の一種(ペプチド)です。たんぱく質でできているため、飲み薬にすると胃で分解されてしまい、効果がありません。
身長の伸びには、成長ホルモンのほかにも、甲状腺ホルモンや性ホルモン、栄養などが関わっています。成長ホルモンはその中で中心的な役割を持つホルモンです。
名前から身長だけに関わるホルモンと思われがちですが、成長ホルモンは子どもの時期だけでなく、一生を通じて体の働きを支えています。
どこで作られるのですか?
成長ホルモンは、脳の下垂体という小さな部分で作られ、血液の中に出されます。下垂体は、成長ホルモンのほかにも、甲状腺や副腎、性腺の働きを調節するホルモンなどを出しています。
小児慢性特定疾病情報センターは、成長ホルモン分泌不全性低身長症では、成長ホルモンのほかに、甲状腺刺激ホルモン(TSH)や性腺刺激ホルモン(LH・FSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、抗利尿ホルモン(ADH)が不足していることもあると説明しています。
下垂体の近くにできる腫瘍などで、下垂体の働きが影響を受けることもあります。成長ホルモンの不足が疑われるときに、頭部MRIで下垂体の様子を調べるのはこのためです。
下垂体は、ほかのホルモンを出す臓器に指令を出す役割をもつため、下垂体の働きが弱いと、いくつかのホルモンにまとめて影響が出ることがあります。
下垂体の様子は、頭部MRIなどの画像検査で調べることができます。
成長ホルモンは、どうやって身長を伸ばすのですか?
日本小児内分泌学会は、成長ホルモンは肝臓に働いてIGF-1(インスリン様成長因子-Ⅰ、ソマトメジンCとも呼ばれます)という成長因子を作らせ、血液中に出させると説明しています。成長ホルモンは、骨の軟骨成長板にも働いて、骨を縦の方向に伸ばします。
日本内分泌学会は、身長を「頭からかかとまでのそれぞれの骨の長さの合計」と説明しています。骨のひとつひとつが少しずつ長くなることで、身長が伸びていきます。
骨が長くなる部分である成長板(骨端線)は、思春期の後半に閉じます。閉じたあとは、成長ホルモンが働いても骨は縦には伸びません。骨端線については「骨端線とは?」の記事で説明しています。
IGF-1は、血液検査で測ることができます。小児慢性特定疾病情報センターの診断の手引きでは、血液中のIGF-1の値が正常より低いことが、判断の参考になる所見に挙げられています。
骨の伸びには、成長ホルモンのほかに、甲状腺ホルモンや性ホルモン、栄養も関わります。どれかひとつだけで身長が決まるわけではありません。
身長のほかに、どんな働きがありますか?
日本小児内分泌学会は、成長ホルモンは脂肪組織や筋肉など全身に働いて、代謝を調節し、筋肉の量や体の機能を正常に保つとともに、心理的な健康感にも関わると説明しています。
このため、成長ホルモンは身長が伸び終わった大人にとっても必要なホルモンです。同学会は、大人の重い成長ホルモン分泌不全症では、メタボリックシンドロームに似た異常や生活の質の低下がみられ、成長ホルモンの補充が有効だと説明しています。
子どもの時期に成長ホルモンの不足と診断された場合は、身長の治療が終わる時期に、大人になってからの経過についても医師と相談します。
子どもでも、成長ホルモンの不足が重い場合は、乳幼児期に低血糖を起こすことがあります。また、日本小児内分泌学会は、成長ホルモンが不足していない大人が若返りや運動能力の向上を期待して使うことを、不適切な使い方の例に挙げています。
成長ホルモンの役割は年齢によって変わり、子どもでは身長の伸び、大人では体の組成や代謝の維持が中心になると考えられます。
成長ホルモンは、いつ、どのように出るのですか?
厚生労働省のe-ヘルスネットは、寝入ってすぐの深い眠り(徐波睡眠)の時期に一致して、成長ホルモンが分泌されることを説明しています。
成長ホルモンは一日中同じ量が出ているわけではなく、時間によって出る量が大きく変わります。このため、1回の採血で測った成長ホルモンの値だけでは、足りているかどうかを判断できません。
日本内分泌学会は、成長ホルモンの出る力を調べるために、薬を使って分泌を促す分泌刺激試験を行い、少なくとも2種類の薬で確かめる必要があると説明しています。
分泌刺激試験は、たとえばアルギニンを使う試験では約2時間かかり、計5回採血します。睡眠と成長ホルモンの関係は、「寝る子は育つは本当?」の記事で説明しています。
少なすぎたり、多すぎたりすると、どうなりますか?
成長ホルモンを出す力が弱いために身長が低くなっている状態を、成長ホルモン分泌不全性低身長症といいます。詳しくは「成長ホルモン分泌不全性低身長症とは?」と「成長ホルモンが不足するとどうなる?」の記事で説明しています。
反対に、成長ホルモンが多く出すぎる病気もあります。小児慢性特定疾病情報センターは、骨端線が閉じる前に成長ホルモンが過剰に出ると、異常な高身長となる下垂体性巨人症になると説明しています。
骨端線が閉じたあとに過剰に出る場合は先端巨大症と呼ばれ、手足の先が大きくなる、顔つきが変わる、糖尿病などの代謝の異常が起こるといった症状がみられます。多くは、下垂体にできる成長ホルモンを作る腫瘍が原因です。
成長ホルモンが過剰に出る病気は、身長が伸びすぎることがきっかけで見つかることがあります。日本小児内分泌学会も、身長が伸びすぎる場合を相談の目安に挙げています。
どちらの場合も、身長の伸び方の変化が、病気に気づく手がかりになります。
薬としての成長ホルモンは、どう使うのですか?
成長ホルモンの薬は、注射で使います。日本小児内分泌学会は、飲み薬では胃で分解されて効果がなく、舌の下に入れるなど注射以外の方法も、有効性が確立していないと説明しています。
同学会は、成長ホルモン治療の対象となる子どもの病気として、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、慢性腎不全に伴う低身長、軟骨異栄養症、プラダー・ウィリー症候群、SGA性低身長症、ヌーナン症候群、SHOX異常症を挙げています。
また、成長ホルモンの分泌を促すとうたうサプリメントやアミノ酸に、身長を伸ばす効果がないことが明らかにされていると説明しています。
治療に使う成長ホルモンの薬は、遺伝子組換えの技術で作られたものです。毎日注射する製剤のほかに、週1回の製剤もあります。骨端線が閉じたあとは、成長ホルモンの薬を使っても身長は伸びません。
同学会は、承認された対象の病気以外の病気や低身長に使うと、効果が得られないことが多く、有害なことが起こる可能性もあると説明しています。
成長ホルモンについてよくある質問
Q. 成長ホルモンは、子どもの時期だけ出るのですか?
A. 大人になってからも出ています。日本小児内分泌学会は、身長が伸び終わったあとも、代謝の調節や筋肉の量の維持などに働いていると説明しています。
Q. 血液検査で、成長ホルモンが足りているか分かりますか?
A. 1回の採血だけでは分かりません。成長の記録や、IGF-1などの血液検査に加えて、分泌刺激試験で成長ホルモンの出方を確かめます。
Q. 成長ホルモンが多いほど、背が高くなりますか?
A. 多ければよいわけではありません。成長ホルモンが過剰に出る病気もあり、体にさまざまな影響が出ます。薬として使う場合も、量は医師が決めます。
まとめ
成長ホルモンは脳の下垂体で作られ、IGF-1を通して骨の成長板に働き、身長を伸ばすホルモンです。身長以外にも代謝や筋肉の維持に関わります。成長ホルモンの働きが心配な場合は、ノビケアの医師による無料相談でも、成長の記録を見ながらご相談いただけます。
出典 [10]
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