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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分
負荷試験の結果が「境界」と言われたら:もう一度検査する理由と、それまでの過ごし方
公開日:2026年10月5日 更新日:2026年10月5日
負荷試験の結果が「境界」と言われるのは、成長ホルモンの値が診断の基準の近くだったり、2種類の検査で結果が分かれたりした場合です。この検査は、健康な子でも低い値が出ることがあり、日によって結果がぶれることも知られています。そのため、伸び方の記録を重ねてから、時期や方法を考えてもう一度調べることがあります。次の検査までは、身長を同じ条件で測り、ふだんどおりの生活を続けましょう。
「境界」とは、どんな結果のこと?
「境界」は、正式な診断名ではなく、結果が基準のどちら側とも言い切りにくいことを表す言い方です。小児慢性特定疾病情報センターの診断の手引きでは、多くの分泌刺激試験で、成長ホルモンの最も高い値(頂値)が6ng/mL以下、GHRP-2という薬を使う試験では16ng/mL以下を、低い反応としています。そして、身長が標準の−2.0SD以下などの成長障害があり、2種類以上の試験で低い反応だった場合に、成長ホルモン分泌不全性低身長症と判定します。
手引きでは、結果の組み合わせによって、次のように扱いが分かれます。主治医の言う「境界」が、どの場合に当たるのかを確かめましょう。
| 検査の結果 | 診断の手引きでの扱い |
|---|---|
| 2種類以上の試験で、どれも基準以下 | 成長障害の条件を満たせば、成長ホルモン分泌不全性低身長症と判定 |
| 1種類の試験だけ基準以下 | IGF-1の値や骨年齢などの参考所見の数によっては「疑い」とされる |
| どの試験も基準を上回る | 分泌刺激試験の基準は満たさない |
出典 [1]
基準のすぐ近くの値は、どう考える?
手引きは、基準を満たす場合も、値の低さによって重症、中等症、軽症に分けています。2種類以上の試験の頂値がすべて3ng/mL以下(GHRP-2では10ng/mL以下)の場合を重症とし、軽症については、諸外国では成長ホルモン分泌不全ではない低身長として扱う場合もあると注記しています。
つまり、基準の近くの値は、専門家の間でも解釈が分かれやすい領域です。値の大きさだけでなく、1年あたりの伸び、IGF-1、骨年齢、ほかの病気の有無などをあわせて判断されます。IGF-1の検査については「IGF-1(ソマトメジンC)とは?」のコラムで説明しています。
出典 [1]
なぜ、結果がぶれるの?
手引きは、健康な子でも見かけ上低い反応を示すことがあるため、確かな診断には、通常2種類以上の分泌刺激試験が必要だとしています。また、次のような状態では成長ホルモンの反応が低く出ることがあるとして、注意を促しています。
さらに、手引きは、測定に使う試薬(キット)によって値が違うため、キットごとの補正式で補正した値で判定するとしています。オランダの研究者による系統的レビュー(2026年)も、成長ホルモンの分泌は日によって変わり、分泌刺激試験には限界があるため、診断が難しいと述べています。
- 甲状腺の働きが低いとき(甲状腺ホルモンを補ってから検査する)
- 尿の量を調節するホルモンが足りないとき(治療をしながら検査する)
- 成長ホルモンの出方に影響する薬(副腎皮質ホルモンなど)を使っているとき
- 強いストレスが長く続く環境にあるとき
- 肥満があるとき(体重を整えてから検査する)
思春期の前後で、検査のしかたが変わることはある?
スウェーデンの研究者は、成長ホルモンの検査は、とくに思春期の前や始まったばかりの子で、本当は足りている子を低く判定しやすいと述べています。海外では、こうした年ごろの子に、検査の前に少量の性ホルモンを使う「プライミング」という方法がとられることがあります。この研究者たちが低身長の子132人を調べた研究(2025年)では、プライミングをした子では、夜の自然な分泌を調べた検査と分泌刺激試験の結果が食い違った割合が4%で、しなかった子の23%より少なくなりました。研究者は、思春期の前や始まったばかりの子では、プライミングを取り入れることを勧めています。
一方、前の系統的レビューは、プライミングの使い方は研究によってまちまちだったとしています。また、成長ホルモンだけが足りないと診断されて治療を受けた子を、あとで検査し直すと、不足がみられなくなる子が少なくないことも報告しています。国内でプライミングを行うかどうかや、その方法は、医療機関によって違います。
もう一度検査するのは、どんなとき?
手引きは、身長が正常の範囲でも、1年あたりの伸びが2年以上にわたって標準の−1.5SD以下であることも、成長障害の条件としています。そのため、「境界」と言われたあとは、伸び方の記録を重ねて、伸びが落ちたままかどうかを確かめることが多くなります。結果に影響する状態(甲状腺の働きや体重など)が整ったあとに、改めて検査することもあります。
もう一度検査するかどうか、いつ行うかは、子どもの年齢や思春期の進み方によって違います。結果の説明の日に、次のことを聞いておきましょう。
- どの試験で、頂値がいくつだったか(試験ごとの値)
- どの点が「境界」なのか(値が基準に近い、試験で結果が分かれた、など)
- 次の検査を考える時期と、そのときの条件
- それまでに家で記録しておくこと
- 予定より早く受診したほうがよい変化
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次の検査までは、どう過ごす?
もう一度検査するかどうかを決める大きな手がかりは、これからの伸び方です。家で測る場合は、同じ時間帯に、同じ方法で測り、日付と一緒に記録しておきましょう。受診の間隔の考え方は「次の受診は何か月後?」、家での測り方は「家で身長を測るなら何か月ごと?」のコラムで説明しています。
食事、睡眠、運動は、ふだんどおりで十分です。検査の結果を変えようとして生活を大きく変える必要はありません。体重を減らすように言われた場合は、自己判断で食事を大きく減らさず、主治医の指示に沿って進めてください。身長を伸ばすとうたう商品については「身長を伸ばすサプリは効く?」のコラムで説明しています。
子どもには、どう伝える?
検査入院をがんばった子に「結果がはっきりしなかった」と伝えるのは、親にとってもつらいことです。「検査がむだだった」のではなく、「体のことをもっとよく知るために、時間をおいてもう一度調べることになった」と伝えましょう。次の検査が決まったら、早めに日程と内容を話しておくと、心の準備ができます。入院中の過ごし方の工夫は「検査入院中、子どもはどう過ごす?」のコラムで紹介しています。
「境界」のまま、治療を考えることはある?
保険診療で成長ホルモン治療を受けられるのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症などの病気と診断され、基準を満たした場合です。医療費助成の対象になるかどうかにも、別に基準があります。どの基準に当てはまるかは、主治医に確かめてください。くわしくは「成長ホルモン治療が保険で受けられるのはどんな場合?」のコラムで説明しています。
原因の見つからない低身長への成長ホルモンの使用は、国内で承認された使い方に含まれない適応外使用になり、保険や医療費助成は使えません。ノビケアはオンライン診療のため、分泌刺激試験は行っていません。ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)でも、お手元の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬の処方を検討する2回目には、お子さまにも参加していただきます。予約は公式LINEから受け付けています。検査が必要な場合や、保険診療の対象になりうる場合は、対面の医療機関をご紹介します。
負荷試験の結果が「境界」のときのよくある質問
Q. 1回目の検査は、むだだったのでしょうか?
A. むだではありません。1回目の結果は、次の検査の時期や方法を考える大切な材料になります。結果の写しを受け取り、次の検査のときに比べられるようにしておきましょう。
Q. 次の検査の前に、気をつけることはありますか?
A. 飲んでいる薬や、最近の体調の変化は、前もって伝えましょう。食事を控える時間などの準備は医療機関によって違うので、案内に従ってください。
Q. もう一度入院するのを、子どもが嫌がっています。
A. 嫌な理由を聞き、主治医に伝えて相談しましょう。検査の方法や日程を、子どもの負担に配慮して考えてもらえることがあります。
まとめ
負荷試験の結果が「境界」と言われたら、どの試験の値がどうだったのか、診断の手引きのどこに当たるのかを確かめましょう。この検査は結果がぶれやすいため、伸び方の記録を重ねてから、時期や方法を考えてもう一度調べることがあります。それまでは、同じ条件で身長を測り、ふだんどおりに過ごしてください。
出典 [1]
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く。) 診断の手引き」
- Journal of the Endocrine Society「Growth hormone retesting for idiopathic isolated growth hormone deficiency during and after puberty: a systematic review」(Vliegenthart J ほか、2026年、31研究・2,057人、PubMed)
- Hormone Research in Paediatrics「Priming Short Children with Sex Steroids prior to Growth Hormone Testing Decreases the Frequency of Divergent Results」(Lennartsson O ほか、2025年、スウェーデンの低身長の子132人、PubMed)
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
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