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低身長と発達障害は関係ある?ADHDのお薬と身長について分かっていること
公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日
体質による低身長が発達障害の原因になる、または発達障害が低身長の原因になる、と示した学会や公的機関の資料は見当たりません。一方、ADHDのお薬のうち、コンサータ、ストラテラ、ビバンセの添付文書には、子どもで体重増加の抑制や成長の遅れが報告されていると書かれています。お薬は自己判断でやめず、身長と体重を定期的に記録して、処方している医師と相談しましょう。
低身長と発達障害は、関係があるの?
学会や公的機関の資料には、体質による低身長と、ADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害の、どちらかがもう一方の原因になることを示したものは見当たりません。
ただし、生まれつきの病気の中には、低身長と発達面の特徴の両方がみられるものがあります。たとえば小児慢性特定疾病情報センターのターナー症候群の解説では、低身長への治療とあわせて、発達面のサポートを早くから行うことにも触れています。
また、日本小児心身医学会は、ADHDの診断では、一部の神経の病気や養育環境の問題などが、ADHDによく似た様子を引き起こす場合があるため、成育歴や家庭の状況を含めた医学的な評価が重要だとしています。身長の伸びと行動の両方が気になるときは、それぞれを医師に伝えましょう。
ADHDとは、どんな状態?
日本小児心身医学会は、ADHD(注意欠如多動症)を、年齢相当の知的能力をもちながら、注意力、集中力、衝動のコントロールの力が年齢に比べて遅れている発達障害の一種と説明しています。小中学生の3〜7%程度にみられ、男の子に多いとされます。
治療は、薬を使わない方法から始めるのが基本です。環境の調整、ペアレントトレーニング、行動療法などを行い、症状が強く、親子関係や本人の自信に影響している場合などに、薬物療法を加えます。
なお、甲状腺ホルモンが多くなるバセドウ病では、子どもで落ち着きのなさや学力の低下、身長の伸びの促進などが見られることがあると、日本小児内分泌学会が説明しています。ホルモンの病気が行動の変化の背景にあることもあります。
日本で使われるADHDのお薬には、どんなものがある?
子どものADHDに使われるおもなお薬は次の4つで、どれも添付文書の効能・効果は注意欠陥/多動性障害(AD/HD)です。ビバンセは「小児期における」AD/HDとされています。コンサータとストラテラは、6歳未満の子どもでの有効性と安全性は確立していないとされています。
コンサータとビバンセは、ADHDの診断と治療にくわしく、管理システムに登録された医師のいる医療機関と、登録された薬局でのみ扱われます。
- コンサータ(メチルフェニデート):中枢神経刺激薬
- ビバンセ(リスデキサンフェタミン):中枢神経刺激薬
- ストラテラ(アトモキセチン):非中枢神経刺激薬
- インチュニブ(グアンファシン):非中枢神経刺激薬
添付文書には、身長について何と書かれている?
コンサータの添付文書には、子どもに長く使った場合に体重増加の抑制や成長の遅れが報告されているため、患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくないときは投与を中断すること、と書かれています。
ビバンセの添付文書にも、体重増加の抑制や成長の遅れが報告されているため、成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくないときは投与の中断などを考えることとあります。食欲が落ちる副作用(食欲減退)は、ビバンセの添付文書の副作用の表で79.1%と、多くみられるものとして載っています。
ストラテラの添付文書では、子どもで投与の初めのころに体重増加の抑制や成長の遅れが報告されているとし、減量や中断などを考えるよう求めています。インチュニブの添付文書には、反対に体重が増えることがあるため、定期的に体重を測るよう書かれています。
| お薬 | 添付文書の身長・体重に関する注意 |
|---|---|
| コンサータ | 長期投与で体重増加の抑制、成長遅延の報告。成長に注意し、思わしくないときは中断 |
| ビバンセ | 体重増加の抑制、成長遅延の報告。思わしくないときは中断などを考慮 |
| ストラテラ | 投与初期に体重増加の抑制、成長遅延の報告。減量や中断などを考慮 |
| インチュニブ | 体重が増えることがあるため、定期的に体重を測定 |
研究では、どのくらいの影響が分かっている?
中枢神経刺激薬と成長についての総説では、治療の最初の2年ほどを中心に、量に応じて1年あたりの伸びが1〜1.4cmほど少なくなることが観察されているとしています。一方、大人になったときの身長についてはっきりした差がないとする研究も多く、結果は分かれています。
米国のADHDの子どもを大人になるまで追った研究(MTA研究)では、中枢神経刺激薬を続けて、または途中で中断しながら使っていたグループは、ほとんど使っていなかったグループより、大人の身長が平均で約2.5cm低かったと報告されています。ただし、これは治療を割り付けた試験ではなく、実際の使い方で分けて比べた観察の結果です。
韓国の全国データを使った2026年の研究では、メチルフェニデートを使った人は、大人になったときに低身長に当てはまる割合がわずかに高かったものの、身長の差は小さく、成長を定期的に見守ることが大切だとまとめています。
背が心配なら、お薬をやめたほうがいい?
お薬を自己判断でやめたり、量を減らしたりしないでください。ADHDの治療には、学校生活や家庭生活、本人の自信を守るという大切な目的があります。総説でも、成長への影響に注意しながら、効果のあるいちばん少ない量を使い、定期的に評価して量を調整することがすすめられています。
コンサータの添付文書には、長く使う場合には定期的に休薬の期間を設けて、続ける意味があるかを見直すことが書かれています。休薬や減量、お薬の変更をするかどうかは、処方している医師が、症状と成長の両方を見て判断します。
身長の伸びが心配なときは、まず成長の記録を持って、処方している医師に相談しましょう。
治療中に、家庭でできることは?
身長と体重を定期的に測り、成長曲線に記録しておきましょう。お薬を始めた時期や量を変えた時期も書き込んでおくと、伸び方の変化との関係が分かりやすくなります。
お薬を飲んでいて食欲が落ちる場合は、そのことを処方している医師に伝えましょう。食事の工夫が必要なときは、医師や管理栄養士に相談できます。
受診のときは、記録した成長曲線を見せ、身長や体重の伸びが落ちていないかを一緒に確かめてもらいましょう。記録の書き方は「成長曲線の書き方は?」の記事で説明しています。
伸びが落ちたとき、成長ホルモン治療は使える?
伸びが目立って落ちている場合は、お薬の影響だけでなく、ほかの原因がないかを調べることが大切です。小児の内分泌を専門とする医師に相談すると、成長曲線や検査をもとに評価してもらえます。
成長ホルモン製剤が承認されているのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症などの特定の病気です。ADHDのお薬による伸びの低下は、承認された病気に含まれていません。病気が見つからないまま身長を伸ばす目的で使うことは適応外使用で、この使い方を勧めた学会や公的機関の資料は見当たりません。伸びが落ちたときにどう考えるかは、小児内分泌の専門医に相談してください。
適応外使用の意味や注意点は「自由診療の成長ホルモン治療とは?」の記事で説明しています。身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。
ADHDのお薬と身長についてよくある質問
Q. 夏休みなどにお薬を休むと、身長は追いつきますか?
A. 休薬で伸びがどこまで取り戻せるかは、研究でも結論がはっきりしていません。休薬するかどうかは、症状と生活への影響も考えて、処方している医師と相談してください。
Q. どのお薬が身長に影響しにくいですか?
A. 添付文書の記載や研究の結果はお薬ごとに違いますが、どれを選ぶかは症状や副作用、生活に合うかで決まります。身長への心配も含めて医師に伝え、一緒に選びましょう。
Q. ADHDのお薬を飲んでいても、低身長の相談はできますか?
A. できます。飲んでいるお薬の名前と量、始めた時期を伝えてください。お薬手帳を見せるのが確実です。
出典 [8]
まとめ
低身長と発達障害が互いの原因になるという根拠は見当たりませんが、ADHDのお薬の一部では、子どもの体重や身長の伸びが抑えられることが添付文書に書かれています。お薬は自己判断でやめず、身長と体重の記録を持って処方医に相談し、伸びが目立って落ちるときは小児の内分泌の専門医にも相談しましょう。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 小児慢性特定疾病情報センター「ターナー(Turner)症候群 概要」
- 日本小児心身医学会「注意欠如多動症」
- 日本小児内分泌学会「バセドウ病(Graves病)」
- PMDA「コンサータ錠 添付文書」(2026年6月改訂 第5版)
- PMDA「ビバンセカプセル 添付文書」(2026年10月改訂 第6版)
- PMDA「ストラテラカプセル 添付文書」(2024年4月改訂 第2版)
- PMDA「インチュニブ錠 添付文書」(2026年6月改訂 第6版)
- Translational Pediatrics「Growth perturbations from stimulant medications and inhaled corticosteroids」(2017年、PubMed)
- Journal of Child Psychology and Psychiatry「Young adult outcomes in the follow-up of the multimodal treatment study of attention-deficit/hyperactivity disorder: symptom persistence, source discrepancy, and height suppression」(2017年、PubMed)
- JAMA Network Open「ADHD and Methylphenidate Use in Prepubertal Children and BMI and Height at Adulthood」(2026年、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「当学会に所属している、内分泌代謝科(小児科)専門医」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)