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クローン病など炎症性腸疾患と子どもの身長は?背が伸びにくくなる理由と治療で気をつけること

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)は、腸の炎症や栄養不足のために、子どもの背の伸びをにぶらせることがあります。とくにクローン病では、おなかの症状より先に、体重や身長の伸びが落ちることで気づかれる場合もあります。もとの病気をきちんと治療すると、より正常に近い成長が期待できるとされているため、成長曲線で伸び方を確かめながら治療を進めることが大切です。

炎症性腸疾患とは、どんな病気?

炎症性腸疾患は、腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が起きる病気の総称で、代表的なものがクローン病と潰瘍性大腸炎です。どちらも原因はまだはっきり分かっておらず、よくなったり悪くなったりをくり返しながら長く付き合う病気です。

クローン病は、主に小腸や大腸に炎症や潰瘍が起き、腹痛や下痢が多くの患者さんに見られます。発熱、血便、体重が減る、だるさ、貧血なども起こります。10代から20代の若い世代に多く、男性は女性の約2倍とされています。潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起きる病気で、下痢や血便、腹痛が主な症状です。

子どもでも発症します。国立成育医療研究センターは、クローン病は15歳から35歳ごろに診断されることが多い一方で、乳幼児期を含む小児期に発症することも珍しくないと説明しています。小児慢性特定疾病情報センターは、子どもの潰瘍性大腸炎の平均発症年齢を10歳としています。

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なぜ背が伸びにくくなる?

日本小児栄養消化器肝臓学会などの小児クローン病治療指針(2019年)は、成長障害の原因として、栄養をとる量が足りないこと、小腸で栄養を吸収しにくくなること、炎症で出る物質(炎症性サイトカイン)が成長を抑えること、治療に使うステロイド薬が成長を抑えることを挙げています。とくに、小腸の上の方(空腸)に病変があると、成長障害が強くなりやすいとされています。

小児慢性特定疾病情報センターの解説では、腸の粘膜から出るTNF-αやIL-6といった物質には食欲を落とす働きもあり、栄養不足から背の伸びが落ちて、思春期の始まりが遅れることがあると説明されています。鉄やビタミンDなどが不足しやすいことや、骨の発達が妨げられて骨折しやすくなることも指摘されています。

総説(Translational Pediatrics誌、2019年)では、炎症によって成長ホルモンが効きにくくなること(成長ホルモン抵抗性)も、成長障害に関わる要因の一つとして挙げられています。つまり、成長ホルモンが出ていても、炎症が続いていると体がうまく反応できないことがあります。

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どのくらいの子どもに、成長の遅れが見られる?

成長の遅れの頻度は、どの基準で「成長障害」と判断するかによって変わります。小児クローン病治療指針(2019年)は、欧米の報告では23〜36%とする一方、日本での実態は分かっていないとしています。同じ指針の別の箇所では、診断の時点で10〜40%の患者さんにすでに成長障害を認めるとされる、とも書かれています。

潰瘍性大腸炎では、クローン病に比べると診断時の成長障害は少ないと報告されています。ただし、潰瘍性大腸炎の治療指針は、子どもの潰瘍性大腸炎で成長障害が起きる主な原因はステロイド薬の投与だとしており、治療中の成長の確認は同じように大切です。

病気診断時に成長障害がある割合(報告)出典
クローン病10〜40%(欧米の報告では23〜36%、日本の実態は不明)小児クローン病治療指針(2019年)
クローン病15〜40%小児慢性特定疾病情報センター、Translational Pediatrics誌の総説(2019年)
潰瘍性大腸炎3〜10%Translational Pediatrics誌の総説(2019年)

出典 [5] [7] [8]

おなかの症状より先に、身長や体重の変化で気づかれることはある?

あります。小児クローン病治療指針(2019年)は、子どもでは、おなかの症状を訴える前に、体重が増えない、背が伸びない、原因の分からない熱が続く、鉄欠乏性の貧血といった、腸の外の症状が先に出ることがあると注意をうながしています。腹部の症状がないまま、成長障害だけが見られることもあるとされています。

次のような変化が重なるときは、成長曲線の記録を持って、かかりつけの小児科に相談してください。ここに挙げた変化があっても、炎症性腸疾患とは限りません。原因を調べるかどうかは、医師が全体を見て判断します。

強い腹痛が続く、血便が多い、ぐったりして水分がとれないといったときは、診療時間を待たずに医療機関を受診してください。意識がおかしい、呼吸が苦しいなど急を要するときは119番に連絡してください。

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治療では、成長を守るために何に気をつける?

小児クローン病の治療は、栄養療法、薬による治療、手術、心の面の支援が中心です。治療指針は、身長・体重・二次性徴・骨年齢などの成長の指標を定期的に確認し、成長曲線で評価することを求めています。成長の正常化は、治療の主な目標の一つとされています。

栄養療法の一つに、一定の期間、食事の代わりに栄養剤だけで栄養をとる方法(完全経腸栄養療法)があります。国立成育医療研究センターは、2〜4週間の完全経腸栄養療法のあと、再び悪くなるのを防ぐために、食事と栄養剤を組み合わせる方法(部分経腸栄養療法)を続けると説明しています。治療指針は、この方法ではステロイド薬による成長への影響を避けられ、治療を始めたあとの体重や身長の増加が期待できるとしています。

ステロイド薬は炎症を抑える大切な薬ですが、治療指針は、よい状態を保つ目的(寛解維持)には役立たず、長く使うと成長障害の原因になるとしています。症状が落ち着いたら、できるだけ早く減らして中止することが望ましいとされています。ただし、急にやめると危険な場合があるため、量の調整は必ず主治医の指示にしたがってください。

炎症を強く抑える生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤など)は、重症の場合などに使われます。総説では、思春期前に発症したクローン病で、成長によい影響があったと報告されています。手術が必要な場合も、成長障害がある子どもでは、成長の余地が残っている時期に行うべきだとされています。

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成長ホルモン治療は使われる?

小児クローン病治療指針は、クローン病の成長障害に対して成長ホルモン製剤が有効だという根拠はないとしています。小児潰瘍性大腸炎治療指針も、潰瘍性大腸炎の成長障害に対して成長ホルモン製剤の有効性を示す根拠はないとしています。炎症性腸疾患による成長障害は、国内の成長ホルモン製剤の承認された効能・効果にも含まれていません。

そのため、まず腸の炎症と栄養の状態をよくすることが、成長を取り戻す基本になります。初診の時点ですでに成長障害や骨年齢の遅れがある場合でも、もとの病気と栄養障害を適切に治療すれば、より正常に近い成長が期待できるとされています。

総説によると、大人になってからの身長は、平均すると健康な人より低いという報告がある一方、成長障害がある人の割合は発症時より少なくなるとされています。どこまで追いつくかには、発症した年齢や思春期の時期、炎症の強さなどによる個人差があります。別に成長ホルモンの分泌の病気が重なっていないかを調べるかどうかは、主治医が判断します。

出典 [5] [8] [7]

学校生活や心の面、医療費の助成は?

国立成育医療研究センターは、適切な治療を受けることで、授業や修学旅行などの学校生活や課外活動にも積極的に取り組めると説明しています。治療指針は、慢性の病気を持つ子どもでは生活の質が下がりやすく、食事の制限、成長や思春期の遅れ、将来への不安などが心の負担になりうるとして、医師、看護師、心理職、栄養士などが連携して支えることを勧めています。大人の診療科への移行の準備は、小学校高学年から中学生のうちに始めることが勧められています。

クローン病と潰瘍性大腸炎は、小児慢性特定疾病の医療費助成の対象です。18歳未満で認定されれば、20歳になるまで助成を受けられる場合があります。大人では、指定難病の医療費助成の対象になっています。申請の方法は、お住まいの自治体や主治医に確認してください。

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どこに相談すればよい?

おなかの症状や体重の減少があるときは、まずかかりつけの小児科を受診してください。炎症性腸疾患が疑われる場合は、内視鏡などの検査ができる小児の消化器の専門の医療機関を紹介してもらう流れになります。

ノビケアはオンライン診療のため、炎症性腸疾患の診断や治療は行っていません。おなかの症状はないものの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談(ビデオ通話)で成長の記録を見ながらご相談いただけます。病気が疑われる場合は、対面の医療機関をご紹介します。

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炎症性腸疾患と身長についてよくある質問

Q. 背が低いだけでも、炎症性腸疾患を疑ったほうがよいですか?

A. 背が低い子どもの多くは、体質によるものです。ただ、これまで順調だった伸びが途中から落ちてきた、体重が増えない、おなかの症状や貧血があるといった場合は、病気が隠れていないか小児科で確認してもらいましょう。

Q. 栄養剤だけの期間は、学校の給食はどうなりますか?

A. 完全経腸栄養療法の期間は、食事をとらずに栄養剤で過ごすのが基本です。期間や学校での過ごし方は病状によって違うため、主治医と相談したうえで、担任の先生や養護教諭に伝えておくと安心です。

Q. 治療すれば、背は追いつきますか?

A. 治療指針では、もとの病気と栄養の状態を適切に治療すると、より正常に近い成長が期待できるとされています。ただし、どこまで追いつくかには個人差があります。成長曲線を主治医と一緒に見ながら確認していきましょう。

まとめ

炎症性腸疾患、とくにクローン病では、栄養不足や炎症、ステロイド薬の影響で背が伸びにくくなることがあり、おなかの症状より先に成長の変化で気づかれることもあります。成長ホルモン製剤ではなく、もとの病気と栄養状態の治療が成長を取り戻す基本です。気になる変化があれば、成長曲線を持って小児科に相談しましょう。

出典 [5] [8]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 難病情報センター「クローン病(指定難病96)」
  2. 難病情報センター「潰瘍性大腸炎(指定難病97)」
  3. 国立成育医療研究センター「クローン病」
  4. 小児慢性特定疾病情報センター「潰瘍性大腸炎 概要」
  5. 日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会「小児クローン病治療指針(2019年)」(日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌33巻2号)
  6. 小児慢性特定疾病情報センター「クローン(Crohn)病 概要」
  7. Translational Pediatrics「Growth failure in pediatric onset inflammatory bowel disease: mechanisms, epidemiology, and management」(2019年、PubMed)
  8. 日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会「小児潰瘍性大腸炎治療指針(2019年)」(日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌33巻2号)
  9. 小児慢性特定疾病情報センター「医療費助成の概要」
  10. ノビケア「お問い合わせ」