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成長期・思春期・骨端線読む時間 約6分
思春期の男の子の胸のふくらみ(女性化乳房)と成長
公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日
思春期の男の子の乳首の下に、しこりやふくらみが出るのは珍しいことではありません。多くは半年から2年ほどで自然に小さくなる「思春期女性化乳房」です。身長が大きく伸びる時期と重なりやすいことも報告されています。ただ、硬いしこりや急な増大、精巣のしこりがある場合や、思春期の前や終わりごろに始まった場合は、病気を確かめるために受診しましょう。
どのくらいの男の子に起こる?
米国家庭医学会誌の総説(2012年)は、思春期の男の子の半数に女性化乳房がみられ、多くは13〜14歳ごろ、思春期の中ごろに始まるとしています。中国の研究者による総説(2024年)も、該当する年齢の男の子の最大50%にみられるとしています。
一方、イスラエルの12〜15歳の男の子約53万人の記録を調べた研究(2024年)では、医療機関で女性化乳房と診断されていたのは1.08%でした。診察で見つかるふくらみの多くは、受診や診断につながらないまま自然に小さくなっていると考えられます。この研究でも、診断された年齢は13〜14歳が70%を占めていました。
なぜ男の子の胸がふくらむの?
男の子の体でも、少量の女性ホルモンが作られています。思春期には男性ホルモンと女性ホルモンの両方が増えますが、一時的に女性ホルモンの割合が高くなると、乳腺がふくらみます。米国家庭医学会誌の総説は、これを主なしくみとして説明しています。
中国の総説は、脂肪組織では男性ホルモンが女性ホルモンに変わる働きがあるため、太り気味の子では女性ホルモンが増えやすいこと、思春期の中ごろに増えるIGF-1(成長ホルモンの働きで作られる物質)も乳腺の増殖に関わることを紹介しています。
身長の伸びとは、どう関係する?
イスラエルの研究(2013年)は、低身長や思春期の遅れで通院していた男の子106人の記録を調べました。女性化乳房が出た43人のうち42人(98%)は、身長の伸びがいちばん大きい時期の前後1年以内に、ふくらみが出ていました。ふくらみに気づいた平均の年齢は14.4歳、伸びがいちばん大きかった平均の年齢は14.7歳で、そのときの精巣の大きさは8〜10mLでした。
対象は通院中の男の子に限られますが、著者は、女性化乳房に気づいたときは身長の伸びもあわせて評価するよう勧めています。胸のふくらみに気づいたら、そのころの身長の記録も見直してみると、伸びが大きい時期にあたるかどうかの手がかりになります。伸びが大きくなる時期については「成長スパートとは?」のコラムで説明しています。
出典 [4]
自然に小さくなる?どのくらいかかる?
米国家庭医学会誌の総説は、思春期女性化乳房は半年から2年で小さくなるのがふつうで、17歳を過ぎても続く場合はくわしく調べるべきだとしています。中国の総説は、多くは2年以内に自然に小さくなる一方、約25%は2年を超えて続くとしています。
米国小児科学会は、思春期の始めのころの胸のしこりは数か月、ときにはもう少し長く続くことがあるものの、女性のような胸になることはまれだと説明しています。
太っていることによるふくらみとの違いは?
胸のふくらみが、乳腺ではなく脂肪によるもののこともあります。米国家庭医学会誌の総説は、これを「偽性女性化乳房」と呼び、乳首の下にしこりとしてふれる乳腺とは区別するとしています。イスラエルの53万人の研究では、診断された子の70%はBMIが25以下で、肥満でない子にも多くみられました。
脂肪によるふくらみの場合は、成長期に合った食事と運動で体重の増え方を整えることが中心になります。体重を急に減らすことは成長に影響することがあるため、主治医と相談しながら進めましょう。体重と身長の考え方は「ダイエットや肥満は身長に影響する?」のコラムで説明しています。
受診したほうがよいのは、どんなとき?
次のような場合は、思春期の一時的な変化以外の原因がないかを確かめるため、小児科で相談しましょう。項目は米国家庭医学会誌と中国の総説が挙げる点をもとにしています。精巣の腫瘍の一部では、胸のふくらみだけが最初のサインになることもあるとされています。
- 硬く、動かない、乳首から離れた位置のしこりがある
- 乳首から分泌物が出る、乳首がへこむ、皮膚の色や形が変わる
- 数か月で急に大きくなる
- 精巣にしこりがある、精巣が小さいまま、または左右の大きさが急に違ってきた
- 10歳より前など、思春期の前に始まった
- 17歳を過ぎても小さくならない
- 飲んでいる薬がある(薬が原因になることがある)
受診すると、どんなことを調べる?
まず、ふくらみがいつからか、大きさや硬さが変わってきたか、飲んでいる薬やサプリメントがないかを聞かれます。診察では、乳首の下の乳腺の大きさや硬さ、片側か両側か、精巣の大きさやしこりの有無を確かめます。成長曲線で、身長の伸びが大きい時期にあたるかどうかも見ます。
米国家庭医学会誌の総説は、必要に応じて、肝臓や腎臓、甲状腺の働きを血液で調べ、ホルモンの値を測ること、精巣にしこりがある場合や原因がはっきりしない場合は精巣の超音波検査を行うことを挙げています。精巣が小さいままで背が高い場合は、クラインフェルター症候群などを確かめるため、染色体の検査を考えることもあります。
出典 [1]
治療は必要?
思春期の一時的な女性化乳房で、本人がつらく感じていなければ、多くは経過を見るだけで十分とされています。海外では、長く続く場合や痛みが強い場合に薬や手術が検討されることがありますが、日本でこの目的に承認されている薬は見当たりません。治療を考える場合は、専門の医師とよく相談してください。
ラベンダーやティーツリーの精油が男の子の胸のふくらみに関係するという報告もありますが、総説(2023年)は根拠は弱く、原因とまでは言えないとしています。家族が使っている女性ホルモンの塗り薬などにお子さんが触れていないかは、受診のときに伝えましょう。乳がんの薬が身長の話題で出てくる理由と注意点は「アナストロゾールは身長に使われる?」のコラムで説明しています。
本人には、どう接すればいい?
胸のふくらみは、本人にとってとても気になる変化です。着替えや水泳の授業を嫌がる、背中を丸めて胸を隠そうとする、といった様子が見られることもあります。米国小児科学会は、思春期の体の変化をからかわず、本人のプライバシーを大切にするよう勧めています。
「思春期の男の子によくある変化で、多くは自然に小さくなる」と落ち着いて伝えるだけでも、本人は安心しやすくなります。水泳の授業などで困っている場合は、本人の気持ちを確かめたうえで学校に相談することもできます。思春期の体の変化の伝え方は「思春期の体の変化を子どもにどう話す?」のコラムでまとめています。
出典 [5]
思春期の胸のふくらみについてよくある質問
Q. 片側だけがふくらんでいます。
A. 片側だけのこともありますが、中国の総説は、片側だけの場合を、くわしく調べたほうがよい場合の一つに挙げています。硬さや大きくなる速さも含めて、一度診てもらうと安心です。
Q. 胸がふくらんだら、身長の伸びは止まりますか?
A. 止まるサインではありません。研究では、伸びがいちばん大きい時期と重なることが多いと報告されています。
Q. 筋トレで小さくなりますか?
A. 乳腺のふくらみは、筋トレで小さくなるものではありません。脂肪によるふくらみであれば、体重の増え方を整えることが役立ちます。
まとめ
思春期の男の子の胸のふくらみは、多くは一時的な思春期女性化乳房で、身長が大きく伸びる時期と重なりやすい変化です。硬いしこりや急な増大、精巣の異常などがあれば受診しましょう。身長の伸び方も気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。お薬を処方する2回目の診察には、お子さまにも参加していただきます。診察や検査が必要な場合は、対面の医療機関をご紹介します。
出典 [7]
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- American Family Physician「Gynecomastia」(Dickson G、米国家庭医学会誌の総説、2012年)
- Journal of Clinical Medicine「Endocrine Hormones and Their Impact on Pubertal Gynecomastia」(Shi Z ほか、2024年、PMC)
- Frontiers in Pediatrics「Pubertal gynecomastia incidence among 530,000 boys: a cross sectional population based study」(Berger O ほか、2024年、イスラエルの12〜15歳、PMC)
- Journal of Clinical Research in Pediatric Endocrinology「Pubertal gynecomastia coincides with peak height velocity」(Limony Y ほか、2013年、低身長・思春期の遅れで通院した男児106人、PMC)
- American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org)「Concerns Boys Have About Puberty」
- touchREVIEWS in Endocrinology「Are Prepubertal Gynaecomastia and Premature Thelarche Linked to Topical Lavender and Tea Tree Oil Use?」(Braunstein EW ほか、2023年、PMC)
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