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低身長の原因と成長ホルモンのしくみ読む時間 約6分

受動喫煙と子どもの身長・成長

公開日:2026年10月4日 更新日:2026年10月4日

妊娠中にお母さんがたばこを吸うと、赤ちゃんが小さく生まれやすくなり、その後の身長にも影響が続くことがあると報告されています。一方、生まれたあとの家庭での受動喫煙が、それだけで身長を低くするかどうかは、研究によって結果が分かれています。ただし受動喫煙は、乳幼児突然死症候群やぜんそくなど子どもの健康への害がはっきりしているため、身長に関わらず避けることが大切です。

受動喫煙で、子どもの背は低くなる?

たばこと子どもの成長の関係は、妊娠中にたばこの煙にさらされる場合と、生まれたあとに家庭などで煙を吸う場合に分けて考えると分かりやすくなります。

妊娠中の喫煙が赤ちゃんの体の大きさに影響することは、厚生労働省の健康情報サイト(e-ヘルスネット)でも示されています。一方、生まれたあとの受動喫煙と身長についてはっきりした結論は出ていません。順に説明します。

このコラムでは、身長への影響と、身長以外の健康への影響を分けて紹介します。

出典 [1]

妊娠中のたばこは、生まれたあとの身長に関係する?

e-ヘルスネットは、妊婦の喫煙による影響として、早産、低出生体重、おなかの中での発育の遅れを挙げています。吸う本数が多いほど、生まれたときの体重と身長が小さくなるとしています。妊婦自身は吸わなくても、周りの人のたばこの煙を吸うことが、低出生体重や発育の遅れと関係する可能性もあるとしています。

シンガポールの母子969組の研究では、妊娠中の血液中のコチニン(ニコチンが体内で変化したもの)が、たばこを吸っている人と同じくらい高かった母親の子は、生まれたときから5歳まで、身長が低めの状態が続いていました。一方、受動喫煙ていどの低い値では、身長の差はみられませんでした。

山梨県甲州市の研究でも、妊娠中に喫煙していた母親から生まれた子は出生体重が小さく、その後、体重の割合(BMI)が増えやすい傾向がありました。小さく生まれた子の伸び方は、「出生体重・早産と将来の身長」のコラムで説明しています。

出典 [1] [2] [3] [4]

生まれたあとの受動喫煙と、身長の関係は?

英国で5〜11歳の小学生、約1万1千人を調べた研究では、家庭での両親の喫煙量と子どもの身長の間に、はっきりした関係はみられませんでした。一方で、ぜーぜーする呼吸がくり返されるなど、呼吸の症状は受動喫煙で増えていました。

米国の研究でも、母親の喫煙と5歳時点の身長の差は、出生体重と在胎週数を考えに入れると見られなくなりました。著者らは、たばこの煙と身長の関係は、主に妊娠中の喫煙で赤ちゃんの育ちが影響を受けることで説明できるかもしれないとしています。このため、生まれたあとの受動喫煙だけで身長が低くなると言い切れる根拠は、今のところ十分ではありません。

こうした研究は、家庭の状況を観察して比べたもので、たばこ以外の暮らしの違いの影響を完全に取り除くことはできません。結果が研究によって違うのは、そのためでもあります。

出典 [5] [6]

それでも、受動喫煙を避けたほうがよい理由は?

e-ヘルスネットは、受動喫煙と子どもの病気の関係を、根拠の強さに分けて示しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)とぜんそくの既往は、因果関係を推定するのに十分な根拠があるとされています。さらに、ぜんそくの発症や悪化、呼吸の機能の低下、中耳の病気、学童期のむし歯なども、関係が示唆されるとしています。

同じサイトは、日本では受動喫煙が原因で、肺がん、心臓の病気(虚血性心疾患)、脳卒中、乳幼児突然死症候群により、年間約1万5千人が亡くなっていると推計されていることも紹介しています。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、受動喫煙は睡眠にも影響し、とくに妊婦や子どもへの悪い影響が強いとしています。ぜんそくや中耳炎をくり返したり、眠りが浅くなったりすることは、子どもの体調や生活全体に響きます。身長への影響がはっきりしなくても、受動喫煙を避ける理由は十分にあります。

出典 [2] [7]

加熱式たばこなら、大丈夫?

e-ヘルスネットは、加熱式たばこについて、量が少ないとしても、たばこの煙にさらされることに安全なレベルはないとしています。また、販売が始まってからの年月が短いため、長く使ったときの健康への影響はまだ分かっていないとしています。

同じサイトは、加熱式たばこを使っている人にも禁煙の支援や情報を届け、最終的にはたばこをやめることを目指すとしています。紙巻きたばこから加熱式たばこに変えたことで安心せず、子どものそばでは使わないこと、できれば禁煙を目指すことが大切です。

出典 [8]

家庭でできることは?

いちばんよいのは、家族がたばこをやめることです。すぐにやめるのが難しい場合でも、子どもがいる家の中や車の中では吸わないようにしましょう。禁煙したいときは、医療機関の禁煙外来や、かかりつけ医に相談できます。

すぐに禁煙の決心がつかない場合も、まずは家の中と車の中では吸わないなど、家族で話し合ってルールを決めることから始めてみましょう。子どもに煙が届かない時間を増やすことが、最初の一歩になります。

出典 [2]

外出先や学校での受動喫煙は?

2020年4月から全面施行された改正健康増進法では、学校、病院、児童福祉施設などは、原則として敷地内禁煙になりました。そのほかの多くの施設でも屋内が原則禁煙になり、たばこを吸える場所には20歳未満の人は入れません。

ただし、祖父母の家や友人の家、車の中など、家族の生活の場では、決まりだけで煙を避けられるとは限りません。子どものそばでは吸わないよう、周りの大人に協力をお願いしてみましょう。

出典 [9] [10]

思春期の子ども自身の喫煙は?

e-ヘルスネットは、若いうちに吸い始めるほど健康への害が大きく、ニコチンへの依存も強くなりやすいとしています。成人の年齢が18歳になったあとも、たばこが吸えるのは20歳からのままです。

e-ヘルスネットによると、中学生や高校生の喫煙率は2010年以降大きく下がっていますが、未成年の喫煙をなくすという目標は達成されていません。

思春期の子がたばこに興味を持っているようなときは、頭ごなしにしからず、体への影響を一緒に確かめる機会にしましょう。

出典 [9]

どんなときに受診を考える?

ぜーぜーする呼吸やせきが続く、中耳炎をくり返す、いびきが大きく眠りが浅い、といった様子があれば、小児科で相談してください。受動喫煙があることも、診察のときに伝えましょう。

身長については、成長曲線に記録をつけ、線に沿って伸びているかを見ることが大切です。線から下に離れてきた、1年の伸びが少ない、といった場合は、たばこ以外の原因も含めて小児科で確かめてもらいましょう。

出典 [2] [11]

受動喫煙と子どもの成長についてよくある質問

Q. 子どもの背が低いのは、家族がたばこを吸っていたせいでしょうか?

A. 身長には、両親の身長や成長の時期、病気など、たくさんの理由が関わります。たばこだけが原因と決めつけず、成長曲線で伸び方を確かめて、気になるときは小児科で相談してください。

Q. 妊娠中に吸っていました。今からできることはありますか?

A. 今から家庭の煙をなくすことは、ぜんそくや中耳炎などを防ぐうえで意味があります。日本小児内分泌学会の手引きでは、在胎週数に比べて小さく生まれた子の多くは2歳までに標準の範囲に追いつくとされていますが、伸び方は一人ひとり違うため、記録をつけて見ていきましょう。

Q. ベランダや換気扇の下で吸えば、子どもに影響はありませんか?

A. 煙は服や髪、部屋に残り、ドアや窓のすき間から入ることもあるため、完全に防ぐのは難しいと考えられています。家族の禁煙をめざすことが、いちばんの対策です。

出典 [2] [12] [13]

まとめ

妊娠中のたばこは赤ちゃんの育ちに影響し、その後の身長にも関係することがあります。生まれたあとの受動喫煙と身長の関係ははっきりしませんが、子どもの健康への害は明らかなので、家庭からたばこの煙をなくしましょう。身長の伸び方が気になる場合は、ノビケアの医師による無料相談(ビデオ通話)で、成長の記録を見ながらご相談いただけます。1回目は保護者の方だけでもかまいません。

出典 [1] [2] [14]

お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響」
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「受動喫煙 - 他人の喫煙の影響」
  3. Nicotine & Tobacco Research「High Maternal Circulating Cotinine During Pregnancy is Associated With Persistently Shorter Stature From Birth to Five Years in an Asian Cohort」(Ng S ほか、2019年、シンガポールの母子969組、PMC)
  4. Journal of Epidemiology「Longitudinal analyses of childhood growth: evidence from Project Koshu」(鈴木孝太、2015年、山梨県甲州市の出生コホート、PMC)
  5. Journal of Epidemiology and Community Health「Quantifying health aspects of passive smoking in British children aged 5-11 years」(Chinn S・Rona RJ、1991年、英国の小学生約1万1千人、PMC)
  6. American Journal of Epidemiology「Passive and active maternal smoking during pregnancy, as measured by serum cotinine, and postnatal smoke exposure. I. Effects on physical growth at age 5 years」(Eskenazi B・Bergmann JJ、1995年、PubMed)
  7. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(PDF)
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット「加熱式たばこの健康影響」
  9. 厚生労働省 e-ヘルスネット「若者の健康と喫煙」
  10. 厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」(改正健康増進法の受動喫煙対策の特設サイト)
  11. 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」
  12. 日本小児内分泌学会「SGA性低身長症におけるGH治療の手引き」
  13. 日本小児内分泌学会「低身長」
  14. ノビケア「お問い合わせ」