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プラダー・ウィリー症候群と成長ホルモン治療は?身長だけでない目的

公開日:2026年10月3日 更新日:2026年10月3日

プラダー・ウィリー症候群では、成長ホルモン治療が身長だけでなく、筋肉と脂肪のバランス(体組成)を整える目的でも行われます。2023年12月からは身長にかかわらず体組成の改善を目的に使えるようになり、大人になってからも続けられます。食事と運動の療法が基本で、成長ホルモン治療はその代わりにはなりません。

プラダー・ウィリー症候群とは、どんな病気?

プラダー・ウィリー症候群(添付文書や公的資料ではプラダー・ウィリ症候群とも書きます)は、15番染色体の一部にある、父親から受け継いだ遺伝子が働かないことで起こる病気です。小児慢性特定疾病情報センターと日本小児内分泌学会のガイドラインでは、出生約15,000人に1人とされていますが、正確な頻度は分かっていないとされています。

症状は年齢とともに変わり、個人差も大きい病気です。赤ちゃんのころは筋肉の張りが弱く、おっぱいやミルクを飲む力が弱いことが多く、3〜4歳ごろから食欲が強くなる傾向がみられます。幼児期から低身長が目立つことがあり、性ホルモンの働きの弱さ、発達のゆっくりさなどもみられます。

ガイドラインによると、原因の約70%は15番染色体の決まった部分が欠けていることによるもので、ほかに、15番染色体の対が2本とも母親から受け継がれている場合(母性片親性ダイソミー)や、遺伝子の働きのスイッチの異常などがあります。どのタイプかによって、検査の選び方も変わります。

ガイドラインは、近年は管理や治療が進み、肥満の人が減るなど、昔の教科書に書かれた姿とは大きく違ってきていると説明しています。

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どうやって診断する?

確定診断には遺伝学的検査を行います。日本小児内分泌学会は、メチル化試験やメチル化特異的MLPA法を勧めています。これらは、決められた条件のもとで保険診療として行えます。

以前は症状とFISH検査で診断されていた人もいますが、FISH検査で分かるのは染色体の一部が欠けているタイプだけです。赤ちゃんの時期には、症状の似たほかの病気もあるため、学会は遺伝学的な確定診断を強く勧めています。成長ホルモン治療を受けるにも、遺伝学的検査による確定診断が必要です。

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成長ホルモン治療の目的は、身長だけ?

身長だけではありません。添付文書の効能は「プラダー・ウィリ症候群における体組成異常及び骨端線閉鎖を伴わない低身長」です。2023年12月の承認で、身長にかかわらず、体組成の改善を目的に成長ホルモン治療を行えるようになりました。

小児慢性特定疾病情報センターの解説では、成長ホルモンによって身長の伸び、体組成の改善、筋力の向上がみられることが知られているとされています。学会は、子どもの時期から大人の時期まで切れ目なく治療を続けられるようになったと説明しています。

体組成の効果は、体重やBMIだけでは分かりにくいため、おなかまわりの長さや、骨密度の検査(DEXA法)で調べる体脂肪率などで定期的に確かめることが勧められています。

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どの薬を、どのくらい使う?

プラダー・ウィリ症候群が効能に入っているのは、ジェノトロピンとソマトロピンBS「サンド」です。子どもでは、1週間に体重1kgあたり0.245mgを6〜7回に分けて注射します。肥満がある場合は、標準体重をもとに量を決めることが勧められています。

1年間の伸びが1cm未満になったときや、骨年齢が男子17歳、女子15歳に達したときは、体重1kgあたり0.084mgに減らすなどして、大人の量へ移ります。大人では、臨床症状やIGF-1の値を見ながら量を調整し、1日1.6mgを超えないこととされています。

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始める前と治療中には、何に気をつける?

ジェノトロピンの添付文書には、高度な肥満、呼吸器の障害や睡眠時無呼吸の既往、呼吸器の感染の要因をもつプラダー・ウィリ症候群の子どもで、投与に伴う死亡例が報告されていると書かれています。そのため添付文書は、高度な肥満や重い呼吸器の障害がある子どもには使わないこととし、始める前と治療中の確認を求めています。

そのため、始める前には、のどの空気の通り道がふさがっていないか、睡眠中に呼吸が止まることがないかを確かめます。治療中にいびきが出てきた、強くなったなどの変化があれば、すぐに主治医に相談してください。小児慢性特定疾病情報センターの解説では、とくに始めて4か月ほどは呼吸の症状に注意するとされています。

成長ホルモンには血糖を上げる働きもあるため、血糖やHbA1cを定期的に調べます。背骨の曲がり(側弯)が進むことがあるので、診察やレントゲンで経過を見ます。学会は、体重のコントロールが少なくとも6か月安定してから始めることを勧めています。

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食事と運動は、どう続ける?

学会は、食事と栄養の療法、運動療法がプラダー・ウィリー症候群の基本の治療で、成長ホルモン治療はその代わりにはならないとしています。添付文書でも、食事療法と運動療法を行ったうえで成長ホルモン治療を考えるとされています。

小児慢性特定疾病情報センターの解説では、手の届くところに食べ物を置かないなど、周りの大人が環境を整えることが大切だとされています。運動は無理に強いるより、一緒に体を動かすことが勧められています。量の目安は、主治医や管理栄養士と相談して決めます。

このほか、性ホルモンの補充、糖尿病の治療、心の面の支援など、小児科、内分泌科、遺伝科、精神科、心理士、栄養士、学校などが協力して診ることが大切だとされています。

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性ホルモンの治療や、糖尿病がある場合は?

小児慢性特定疾病情報センターの解説では、プラダー・ウィリー症候群では性ホルモンの働きが弱いことが多く、性ホルモンを補う治療が行われることがあります。目的は二次性徴を整えることだけでなく、骨密度の改善や心の面の安定にもあるとされています。始める時期や方法は、本人の状態を見ながら主治医と相談します。

同じ解説では、10歳ごろから思春期にかけて糖尿病が起こることがあるとされています。日本小児内分泌学会によると、2022年4月に、糖尿病があることは成長ホルモン治療を使えない条件から外れました。ただし、成長ホルモンは血糖を上げることがあるため、糖尿病がある場合は、始める前に血糖のコントロールや目の合併症を確かめ、少ない量から慎重に始めることもあるとしています。

学会は、成長ホルモン治療は体組成を整えることで、長い目で見ると糖尿病の起こりやすさを下げる可能性もあるとしています。血糖の検査は、治療の有無にかかわらず定期的に受けましょう。

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どこで治療を受ける?費用の助成は?

プラダー・ウィリー症候群の成長ホルモン治療は、保険診療として、小児内分泌を専門とする医療機関で行われます。学会によると、低身長と体組成の改善を目的とする成長ホルモン治療は、2024年4月から小児慢性特定疾病の医療費助成の対象です。大人では、症状が一定以上の場合などに指定難病の助成の対象になります。

治療は一つの診療科だけで完結するものではありません。小児内分泌の医師を中心に、栄養士、理学療法士、心理士、学校の先生などと情報を共有しながら、年齢ごとの課題に合わせて支援を組み立てていきます。

ノビケアは自由診療のオンライン診療で、プラダー・ウィリー症候群の診断や治療は行っていません。医師による無料相談(ビデオ通話、0円)でお話をうかがい、検査や治療が必要と考えられる場合は、対面の専門の医療機関をご紹介します。

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プラダー・ウィリー症候群の成長ホルモン治療についてよくある質問

Q. 身長が低くなくても、成長ホルモン治療を受けられますか?

A. 遺伝学的検査で確定診断されていれば、体組成の改善を目的に、身長にかかわらず治療を受けられます。

Q. 赤ちゃんのうちから始められますか?

A. 学会の「実施上の注意」(2024年改訂)では、乳児期や幼児期の早い時期に始める場合は、呼吸の状態などに十分注意しながら開始することが望ましいとされています。何歳から始めるかは、主治医と相談して決めます。

Q. 大人になったら治療は終わりですか?

A. 大人の量に減らして続けることができます。大人になってから始める場合も、少ない量から始めて調整します。

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まとめ

プラダー・ウィリー症候群の成長ホルモン治療は、身長と体組成の両方を目的に行われ、大人になっても続けられます。始める前と治療中は呼吸や体重、血糖、背骨を確かめ、食事と運動の療法を基本に、専門の医療機関で進めましょう。

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この記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。

参考にした資料

  1. 小児慢性特定疾病情報センター「プラダー・ウィリ(Prader-Willi)症候群 概要」
  2. 日本小児内分泌学会「プラダーウイリ症候群コンセンサスガイドライン」(PDF、ver1.3 2025年1月7日)
  3. 日本小児内分泌学会「プラダー・ウィリ症候群における体組成改善を目的とするGH治療実施上の注意点 Ver2」(PDF、2024年4月1日改訂)
  4. 小児慢性特定疾病情報センター「プラダー・ウィリ(Prader-Willi)症候群 診断の手引き」
  5. PMDA「ジェノトロピンTC注用 添付文書」(2023年12月改訂 第3版)
  6. PMDA「ソマトロピンBS皮下注「サンド」シュアパル 添付文書」(2026年8月改訂 第3版)
  7. 小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病 対象疾病一覧(令和7年4月1日版)」(PDF)
  8. 日本小児内分泌学会「当学会に所属している、内分泌代謝科(小児科)専門医」
  9. ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
  10. ノビケア「お問い合わせ」